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「鉄道開業150周年を契機に~寄稿シリーズ④」 杉本武勝氏「鉄道遺産を観光資源へ(りくべつ鉄道)」

2022年7月27日
編集部

2022年7月27日(水) 配信

ふるさと銀河線りくべつ鉄道
杉本武勝氏 北海道鉄道遺産ネットワーク幹事、陸別町商工会事務局長

 国鉄網走線は1910(明治43)年に開業し、その後、国鉄池北線(池田―北見間)として分離し、JR北海道、第三セクター「北海道ちほく高原鉄道(ふるさと銀河線)」へと承継され運行してきましたが、2006年4月に全線廃線となり、96年に鉄道の歴史に終止符が打たれました。
 
 しかし、この廃止が原動力となって、陸別町では再生の道を考えました。これが今の観光鉄道動態保存「ふるさと銀河線りくべつ鉄道」です。
 
 廃線日の最終運行後、使用されていたディーゼル車両6両、排雪モーターカー2台、保線作業車、バラスト散布車、トロッコなどが陸別駅構内に集結しました。しかし、町民からは「税金の無駄遣い」「負の財産だ」「素人では無理」などの声がありましたが、動態保存を実現化するため陸別町商工会は、全国の鉄道先進地調査や鉄道事業法に基づかない営業方法、地元への経済効果はどうかなどを研究し、08年4月20日に乗車体験、運転体験、トロッコ運行のできる観光鉄道として営業を開始しました。
 
 りくべつ鉄道の財産は、陸別町がすべてを所有しておりますが、運営主体である陸別町商工会は、これらすべてを借受けし財産の維持管理と運営をしています。窓口運行事務はまちづくり会社「㈱りくべつ 鉄道事業部」に委託してます。
 
 廃線当時は池北間140㌔の線路がありましたが、今では陸別から分線までの5・7㌔だけが残っており、この残された構外鉄道遺産を有効活用するため、開業4年後に構外延伸第1弾として1・6㌔先まで運転体験のできる「銀河コース」を開設。20年に「新銀河コース(2・8㌔)」、21年に陸別駅―分線駅までの1駅区間が運転可能な「分線コース(5・7㌔)」として順次延伸開業しました。これにより、運転体験者のリピーターはさらに増え、運転体験者の回数木製板を駅窓口に掲示していますが150回を超えている方もおられます。また、構内では家族、友人などで楽しめるトロッコ周回コースや北海道最古の転車台などがあり「てつどう公園」として自由に見学もできます。
 
 陸別町は、林業のまち、酪農のまち、日本一寒い町、星の美しい町が自慢ですが、ここに新たな観光資源として「りくべつ鉄道」が加わってからは訪れる観光客は年間6万人から多い年で20万人へと増加しました。
 
 また、本施設は「りくべつ道の駅」にあり観光客が増えたことで陸別の特産品開発にも力が入り(オリジナル鉄道グッズやしばれ君つららちゃん饅頭など)駅構内物産館での販売品の種類も増えました。町内飲食店などで利用できる「うまいもの割引クーポン」の発行や運転体験を2日以上連続申込みされた方へ宿泊サービスする「銀河コースパックセット」など、滞在型観光を推進する取り組みで町への経済効果も上がっております。
 
 昨年線路の終点分線駅に「分線車両庫」と「分線ホーム」を設置いたしました。この場所を活用して今年9月から新たに「排雪モーターカーの操作運転体験」が加わり、次年度以降は分線からさらに北へ線路を敷設延伸しトロッコなど運行することも可能です。鉄道遺産を観光資源とした、りくべつ鉄道の活用への道(路線)はまだまだ続きます。

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