ジーリーメディアグループなど、台湾市場の回復探るセミナー開く 訪日旅行の再開受け
2022年7月21日(金) 配信
ジーリーメディアグループ(吉田皓一社長、東京都渋谷区)と訪日ラボを運営するmov(渡邊誠社長、東京都渋谷区)は7月15日(金)、オンラインセミナー「台湾インバウンドの回復シナリオを各界の専門家が徹底考察」を開催した。6月10日(金)に訪日旅行が再開されたことを受け、コロナ禍前には入国者数が約400万人だった台湾の現状などを探った。
第1部では、世界の観光市場と口コミマーケティングと題して、訪日ラボコンサルティング事業部部長の川西哲平氏が登壇した。
川西氏は冒頭、国際航空運送協会(IATA)のデータを引用し、「2022年5月の国内と国際線の旅客需要はコロナ禍前の68・7%まで回復した」と述べた。「日本と台湾両国は回復が遅れている」としながら、台湾は到着後の隔離期間が7日から3日に緩和され、日本は団体旅行の受け入れが再開されるなど緩和傾向にあることを話した。
今後については「感染状況によって水際措置が変わるので、注視してほしい」と呼び掛けた。
このため観光業界が現在行うべきこととして、高評価のクチコミの獲得を挙げた。
具体的なサイトについては、「無数にあり、国によって認知度などの強みは変わる」とした。台湾については「グーグルビジネスプロフィール」を推奨。理由として、台湾では約80%以上の人がグーグルを使っており、検索エンジンのシェアが1位であることを挙げた。
そのうえで、同サービスのクチコミは利用者の設定言語に自動的に翻訳され、点数は星の数で表されることから、「日本人への対策が、訪日外国人観光客への需要喚起につながる」と語った。
「来るべきFIT再開に向けて、台湾インバウンドについてよくある質問と誤解」と題した第2部にはジーリーメディアグループ営業部長の萬歳昂大氏が登壇した。
萬歳氏は「コロナ禍の前と現在のニーズは大きく変わっていない」と述べた。台湾人が現在、求めている情報として、京都府や池袋(東京)などコロナ禍前に馴染み深かった場所の現状を挙げた。
また、日本政府観光局(JNTO)のデータから、台湾人における地方エリアへの訪問意欲が世界一であることを強調。ジーリーメディアグループが行った調査では、台湾人の訪問県数の中央値が「5県」であり、人気の東京と京都、大阪、北海道、沖縄を除いた場合、地方への訪問経験がほぼないため、「まずは地域の王道からアピールすべき」と話した。
発信するタイミングについては、グーグル検索で、中国語で日本での自由旅行を意味する「日本自由行」の検索回数が、訪日観光の再開後過去1年間で最大だったことなどから「すでに情報収集は始まっている」と強調した。
□往来再開検討の報道 「廃業情報発信を」
台湾インバウンドの回復シナリオとリアルニーズをテーマにパネルディスカッションを行った。
パネリストは誠亜国際有限公司社長の矢崎誠氏と、日本空港ビルデング 営業推進室長の片桐康幸氏、ジーリーメディアグループ「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」編集長の蔡宇淮氏の3氏。ファシリテーターはジーリーメディアグループ代表の吉田皓一氏が務めた。
吉田氏から現在の台湾における海外旅行について問われた矢崎氏は7月15日現在の情報として、「海外への団体旅行が禁止されている。日本では団体のみ受け入れているため、台湾人は日本に訪れることができない」と語った。
感染者数はピーク時の9万人から3万人まで減っている。現地では、1万人程度で国際往来の再開を本格的に検討すると報道されているという。
また、日本の受入施設の廃業情報が少ないことから、自治体などに最新の情報発信を求めた。
片桐氏は台湾からの訪日旅行再開後に、羽田空港と北海道内の空港を結ぶ路線の利用を促そうと、第1ターミナル内にアンテンナショップ北海道どさんこプラザを開店したことを話した。現在は、北海道の魅力を伝えるため、現地に赴いて地域産品の発掘に力を入れているという。
自社の通販サイトでの成果を聞かれた蔡氏は台湾人への人気商品として、北海道のハッカ飴、山梨県の桃などを挙げた。高級品としてカニなども人気だという。また、円安でコロナ前から6~7割程度の価格になり、富裕層以外でも高級品を買えるという。