オートキャンプ白書2022、参加人口23%増の750万人 キャンプ場建設の参入相次ぐ
2022年8月4日(木)配信
日本オートキャンプ協会(明瀬一裕会長)が7月21日(木)に発表した「オートキャンプ白書2022」によると、21年のオートキャンプ参加人口は前年比23%増の750万人だった。キャンプ場の営業がコロナ禍前に近づいたうえ、前年に引き続き、さまざまなメディアに取り上げられ、さらに注目を集めた。ビジネスとしても注目され、異業種からのキャンプビジネス、とくにキャンプ場建設への参入が相次いだ。
明瀬会長は冒頭、コロナ禍により個人の外出が厳しく制限された一方で却ってアウトドアに対するニーズを喚起し、さまざまな媒体でオートキャンプが取り上げられるようになったと振り返る。続けて、オートキャンプは「公共交通機関を使わず自家用車で移動し、キャンプ場では広い屋外の空間で個人や家族単位で楽しめる非常に3密状態になりにくいレジャー。これまでオートキャンプに興味がなかった人も含め、オートキャンプに対する関心と参加意欲が高まり現在に至っている」と語った。
一部でこの現状をオートキャンプブームと呼ばれていることに対して、明瀬会長は「それは必ずしも正しくはない」と指摘。コロナ禍により注目された側面もあると話しつつ、「オートキャンプ人口は毎年新規に参入する20~30万人の子育て世代の家族に支えられ、コロナ禍前の2019年まで7年連続の増加だった。これはオートキャンプが完全に国民の間に定着したと物語ることにほかならない。昨今のオートキャンプ人気もその延長線上に捉えられるべき」との考えを示した。
「オートキャンプ人気の高まりの本質を的確に把握するためには詳細なデータに基づき、長期的・総合的な視点から見る必要がある。オートキャンプ白書がその一助になれば」と明瀬会長は締め括った。
□夏中心から秋・冬に、キャンプ需要に変化
21年の特徴として、キャンプが夏中心から秋・冬に移っていることや、利用が休日だけに限らなくなったことを挙げた。コロナ禍でもキャンプ熱は高まり、年間のキャンプの「回数」は平均4.9回で、20年が4.6回、19年は4.4回とコロナ禍前よりも増えた。同様に「泊数」は平均6.2泊で、20年が6.1泊、19年は5.8泊と上昇傾向にある。
注目されている「ソロキャンプ」は平均13.1%で、20年が11.1%、19年は9.4%と引き続き伸長。「キャンプをした月」を見ると、気候が厳しい冬はこれまでキャンピングカーが多数派だったが、今回の調査結果では真冬でもテント派が上回る月があった。テントでたき火を楽しむという「秋・冬キャンプ」の人気ぶりが表れている。
「キャンプの好きな過ごし方」を見ると、「川遊び・海水浴」といった夏の楽しみが22.6%となり、20年が24.6%、19年は27.7%と減少傾向にある。一方、秋・冬キャンプの楽しみ「たき火をする」は62.4%、20年が54.8%、19年は49.6%と伸びている。
また、「平日にキャンプをする」との回答は45.3%、20年が41.5%、19年は25.9%と確実に増えている。
□稼働率が大きく回復、過去最高の稼働率に
20年はゴールデンウイーク(GW)の休業や、密を避けるためのサイト数制限、利用者の居住地の制限など、コロナ禍により大きなマイナスの影響を受けた。しかし、21年はGWの営業再開や、利用制限の緩和などでキャンプ場は大きく回復。キャンプ場の平均稼働率は、前年から4.1ポイント増の20.4%と過去最高の稼働率となった。
キャンプ場から見たキャンパーの傾向は、「ソロキャンパーが増えた」が63.8%と最も多く、次点で「初心者が増えた」が48.0%、「平日利用が増えた」が37.0%と続く。「平日によく利用する人」では、「ソロキャンパー」が82.3%を占め、キャンパーの傾向と合わせると、平日のソロキャンパーの利用が稼働率に大きく影響したと見て取れる。
□キャンプ用品は好調、ブランドが多様化へ
21年の「テント」の輸入金額は、前年から46.7%増の190億3000万円となり、およそ1.5倍と大きく伸びた。このほか、「シェラフ」は同40.6%増の47億3840万円、「タープ」も同13.1%増の67億3000万円など、キャンプ用品の好調さが表れている。
輸入量が増えるなか、メーカー間は新規ブランドの増加、店舗は全国チェーンのスポーツ用品店が各地でアウトドア専門店をオープンするなど競争が激しくなっている。アウトドアショップへのアンケートでも、売り上げが減った理由に「競争相手の増加」という回答が目立ったという。
そのほか、キャンプに使用する車種は、33.9%の「ミニバン(ワンボックスカー含む)」が最も多かった。ソロキャンプをする人の車は、1位が「軽自動車」、2位は「オフロード型4WD・SUV」、3位が「コンパクトカー」。ソロキャンプがミニマムなキャンプを楽しむだけではなく、SUVを使って多くの荷物を積んでキャンプをするスタイルも少なくないとわかった。