7月の宿泊業倒産は10件 4カ月連続で増加、9割がコロナ関連(東京商工リサーチ)
2022年8月8日(月) 配信
東京商工リサーチがこのほど発表した2022年7月の宿泊業倒産は10件(前年同月6件)だった。4カ月連続で増加し、このうち新型コロナ関連倒産は9件。22年(1~7月)の累計では既に51件となり、前年同期の49件を上回るペースで推移している。
負債総額は16億4700万円(前年同月比170.4%増)。新型コロナ関連支援を受けたものの、業績回復が遅れ、先行きの見通しが立たなくなったケースが多く見られた。
地区別では北陸、近畿、九州が各2件、北海道、東北、中部、中国が各1件。
おもな倒産事例では、松風(福井県小浜市)が7月1日(金)、福井地裁へ自己破産を申請し、同日保全管理命令を受けた。負債総額は3億6400万円。
同社は設立当初、ドライブインを経営していたが、1989年高浜町に「料理旅館松月花松風」を開業し、旅館業の併営を始めた。2005年4月には「サンホテルやまね」(小浜市)の経営を譲り受け、事業規模を拡大した。
しかし、12年には近郊の道の駅との競合により経営不振が深刻化し、ドライブインを閉鎖。21年4月には料理旅館を無期限休業し、ホテルに経営資源を集中して立て直しをはかったが、支え切れず今回の措置となった。なお、ホテルについては、保全管理人が事業譲渡などで存続に向けた対応を進めている。
今年4月の旅行業倒産は、件数が3件(前年同月は1件)で、7カ月ぶりに前年同月を上回った。3件すべてが新型コロナ関連倒産となり、負債総額は3億2500万円で、2カ月ぶりに前年同月を上回った。
同社は、「感染拡大の当初は、国外旅行を主とする事業者の倒産が目立ったが、その後はバスなどで移動する日帰りツアーや合宿といった団体やグループでの旅行を扱う事業者の息切れも見られている」と危機感を募らせている。「22年(1~7月)の倒産件数は14件と前年を下回る水準で推移しているが、感染者数の増加により旅行マインドの低下が懸念される」と先行きの不透明さを指摘した。