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【特集No.617】ホテル金波楼(兵庫県)  風通しの良さで省エネ意識高める

2022年8月18日
編集部:木下 裕斗

2022年8月18日(木) 配信

 旅館・ホテルなど省エネに取り組み、大きな効果を得られた企業を紹介するシリーズ「省エネへの挑戦!」の第3回はホテル金波楼(兵庫県・日和山温泉)を取材した。同ホテルは職場の風通しの良さや社員同士が互いに支え合う環境などを整えながら、省エネへの意識を高めた。社員からのさまざまなアイデアで、2013~19年には重油代を約2732万円削った。さらに、ゴミ処理費は毎年300万円ずつ削減している。今津一也専務取締役兼総支配人に詳しい話を聞いた。

【木下 裕斗】

 

 ――ホテル金波楼の歴史を教えてください。

 当館の位置する瀬戸区は1930年ごろ、漁業を主な産業としていましたが、区直営の魚市場が多額の負債を抱えたまま倒産し、公経済の立て直しが急務の課題となりました。

 当時、鮮魚商だった創業者の今津文治郎が負債整理の役目を任され、地域の住民と一体となって協議を重ね、日和山海岸の景観を生かした観光開発で、地区の再興を決意しました。その結果、34年に区直営の「日和山遊園組合」を発足。ホテルの前身となる「料亭金波楼」をはじめ、水族館、売店、遊覧船事業を開業しました。創業当時は誘客もままならず、大変な苦労続きではありましたが、事業の柱として本格的に宿泊客需要を受け入れるために37年に旅館営業を開始しました。

 戦後、日和山海岸からの景色の人気が高まり、水族館や遊覧船事業も軌道に乗り、順次施設を拡充しました。

 75年には団体旅行ブームに応えるため、大幅に増築し、現在のホテルを構成する2つの建物のうち、渚の館を完成させました。残りの岬の館は91年にオープンしました。現在は全70室で運営しています。

 ――ホテル金波楼以外の事業の現状は。

 組合は49年、日和山観光に名を変えました。現在、水族館「城崎マリンワールド」や、地元の漁港で水揚げされた魚介類を販売する売店「日和山食品」のほか、ゴルフ場「城崎カンツリークラブ」を経営しています。

 また、動くカニのモニュメントが象徴的な「かに道楽」も当社のグループ会社です。ホテルが隣接する津居山漁港の特産品松葉ガニを全国にアピールし、集客につなげようと、60年に営業を開始しました。

 ――省エネに取り組むようになったきっかけを教えてください。

 渚の館は増築から35年が経ち、老朽化していたため、2010年に大規模なリニューアルを行いました。その際、契約していた関西電力に、当時使用していた館内全体の冷暖房を1つの機器で賄うセントラル方式から、需要に応じて必要な箇所だけ空調を利かす個別化への更新を提案されました。

 利用客から「暑い」と言われれば、扇風機などを稼働させ、「寒い」と告げられた際は、暖房機器を出すなど運営上の手間も多く、閑散期に利用されていない客室や宴会場などにも冷暖気を送っていたことから、「個別化」への変更を決めました。客室ごとに細かい温度設定も可能になったので、満足度も向上させることができました。

重油代6年で 2732万円削減

 それ以降、若手からベテランまでの従業員が省エネに対する意識を高めてくれ、さまざまなアイデアを出してもらえるようになりました。これにより、13~19年の6年間に、重油代は約2732万円、電気代は約725万円の削減を達成しました。また、資源エネルギー庁から省エネ法に基づく定期報告書より、過去5年ごとの平均エネルギー量を毎年1%以上削減するなどの目標を達成したとして評価される、「Sランク」事業者に9年連続で認定されました。

 ――省エネ対策を具体的に教えてください。

 主に①電気②水道③空調④ゴミ――の4つの柱を据えています。

 1つ目の電気では……

【全文は、本紙1877号または8月25日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

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