「水辺に咲くレトロモダン」コンセプトに旧九段会館を一部保存しながら建て替え 10月1日「九段会館テラス」を開業へ
2022年9月13日(火) 配信
東急不動産と鹿島建設は10月1日(土)、「九段会館テラス」を開業する。「水辺に咲くレトロモダン」をコンセプトに、登録有形文化財建造物である旧九段会館を一部保存しながら建て替え。
歴史的建造物を創建当時の貴重な技術・素材を生かし保存・復原を行った保存部分と、IoTを活用した地上17階建ての最新鋭のオフィスの新築部分が融合したレトロモダンな施設として活用する。
東急不動産が展開する会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート九段下」や「九段会館テラスコンファレンス&バンケット」などさまざまな付帯施設を備える同施設。保存部分は、現代では入手や再現が困難な90年前の職人技と素材からなる旧九段会館を建物北側と東側部分のL字状に保存し、保存部分と新築部分を一体化する。
保存部分にあるバンケットルーム(真珠・鳳凰)は戦前の絵はがきや写真などの創建当時の資料をもとに、壁紙を特注織物のクロスへ張り替えるなど創建時の姿を復原。応接室・役員室として使われていた部屋は、パントリーなど後年に設置された箇所を撤去した上で補修・復原し、「ゲストルーム 雅・葵」として使用する。
旧九段会館は「軍人會舘」として1934年に竣工した建物で、1936年に起こった2・26事件の際に戒厳司令部が設置されたり、1937年に愛新覚羅溥傑の結婚式が行われたりするなどした場所としても知られる。その後同会館は終戦によるGHQの接収を経て、日本遺族会に無償で払い下げられ、「九段会館」と名称を改めたうえで結婚式場、レストランとして再開業。2011年に発生した東日本大震災による被害により廃業となったが、今回新たに、国内オフィスビル初となるスマートガラスやIoTソリューションなど最新テクノロジー融合オフィスとして生まれ変わった。
9月8日(木)には内覧会が行われ、東急不動産取締役、常務執行役員の榎戸明子都市事業ユニット長が、「歴史的価値の高いデザインを踏襲し、建物全体をレトロモダンなデザインに仕上げた」とあいさつした。