三渓園内の重要文化財臨春閣 9月15日から内部を特別に公開
2022年9月16日(金) 配信
三渓園(神奈川県横浜市)にある重要文化財臨春閣の内部が9月15日から、特別に公開される。
5年にわたる保存修理事業の完了と、三渓園完成100周年を記念した企画。見学通路から狩野派の絵師による障壁画や和歌の色紙がはめ込まれた欄間など、さまざまな工夫が施された内部の意匠と、日本庭園の景観を楽しめる。
公開は25日まで。次回の公開は未定で、今回は貴重な機会となるという。
臨春閣は、江戸時代初期に建てられた紀州徳川家の別荘とされる建物で、三渓園が「東の桂離宮」と呼ばれるのはこの臨春閣の存在にちなんでいる。三渓園には1917年に移築され、その際三渓によって玄関棟部分の新築や3つの棟の配置の変更が行われた。
今回の保存修復工事では桧皮葺屋根と杮葺屋根の補修を実施するとともに、建物の耐震補強工事を行った。臨春閣の大規模修理は約30年ぶり。
耐震補強工事では見た目を大きく変更することなく耐震補強を行うこと前提とし、従来の材料を残し、新たに追加した建材も違和感なく建物に溶け込むよう工夫を施した。またこの補強工事の過程で、戦災によって一切残されていないとされていた戦前の玄関棟の床が見つかった。同遺構も今回の特別公開で併せて公開される。
保存修理を担当した三渓園保勝会事業課の原未織氏は、「臨春閣は今に残されている内部の美しい彩色と建物から見た景色、三渓さんの創意工夫とが絡み合った、今に受け継がれている素晴らしい遺産」と魅力を語った。
三渓園は実業家原三渓(富太郎)が造り上げた庭園で、1906年に一般公開された外苑と、三渓が私庭としていた内苑で構成される。
園内には国の重要文化財建造物10棟、横浜市指定有形文化財建造物3棟を含め17の棟があり、庭園全域も国の名勝に指定されている。また園内、三渓記念館では、三渓ゆかりの資料や美術品などを、約1か月ごとに展示替えを行いながら紹介している。