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「提言!これからの日本観光」 “観光”の平準化(日常化)

2022年9月19日
編集部:木下 裕斗

2022年9月19日(月) 配信

 コロナ禍のために急減していた「観光」もようやく復活の動きが出てきた。コロナ禍直前には外国人客の急増もあって京都、鎌倉など代表的観光都市では「観光客による市内交通機関の異常混雑」で市民の日常生活にも支障が生じる「観光公害」が発生したことは記憶に新しい。

 「観光」の復興は急務であるが何としても観光公害の再発は避けたいというのが観光関係者の願いでもある。実態を体験して痛感したことは、この防止は「観光」のパターンを根本的に変えない限りほとんど不可能に近いのではないかということであった。

 それは「観光」はその性格上時期的(季節別、曜日別にも)波動が大きい行動で、前記の観光地の市内観光スポットへの来訪客は春秋の週末と夏冬の閑散期の平日では、数倍から多いところでは数十倍の差が生じていたからである。市内バスと電車の輸送力(ダイヤや車両など)の増強をはかるとしてもこのような大きいピークの需要に対応できるような増強は実際には不可能と考えざるを得ない。

 なぜならば鉄(軌)道もバスもピークを充たすための増強をすれば、年間を通じ、かなりの期間逆に余剰遊休施設と車両、要員を抱えることとなり、企業経営からみて実現は困難と考えざるを得ない。

 従って、混雑期の休日は、輸送力不足となり前述の「公害」ともいうべき現象を生じ、「観光」の盛行と共に混雑は逆に深刻化していくと考えられるからである。

 今後「観光」復活に当たり公害現象を生じないようにするためには、観光客と観光を受け入れる観光地などすべての観光関係者が、国・自治体などの指導のもとに総合的かつ全力を挙げた混雑緩和施策の樹立と、その展開に向かって共同共励を進めるほかないと考えられる。

 それは「観光」の平準化(ピーク・オフピークをなくし年間万遍なく送集客する)である。受入側では極力閑散期への観光需要に振り向けるべく、観光イベントなどの閑散期開催と観光対象の公開時期を閑散期中心に進め、また閑散期ならではの観光資源の開発と観光魅力の再発見への提案などの情報発信に努める。観光客側でも、これらを受けて極力混雑の少ない時期に高い観光効果を求めた「観光」を志向することなど需給両面で観光の(年間)“平準化”を考えたいものと思う。

 そのために観光客の購入する(観光経済効果の源泉でもある)諸種のサービス料金(宿泊・飲食などの観光施設料金)と、交通運賃は季節変動制を積極的に導入(閑散期の割引繁忙期の割増し)するなど観光市場政策も採り入れこの面からの「観光」の年間(季節・曜日を含む)平準化もはかりたい。

 復活の兆しが見え始めた現在、今後の完全復興さらに発展に備えて、このような総合施策の確立と関係者の連携共働による適切な受入体制の構築と実行を急ぐべきと考えている。

 

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

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