【特集No.619】道後温泉 大和屋本店・別荘 奥村勇太氏 「いきなり若旦那」のSNS宣伝術
2022年9月21日(水) 配信
宿泊施設の宣伝方法に新しい波が来ている。リアルエージェント(RTA)、オンライン旅行会社(OTA)のほかにも、自社ホームページへの誘導のため旅館の経営者や女将がSNS(交流サイト)で自社の宣伝をすることも珍しくない。愛媛県・道後温泉「大和屋本店」「大和屋別荘」の若旦那・奥村勇太氏は、「いきなり若旦那」の名前でツイッターアカウントを運営し、8万人を超えるフォロワー数を抱えている。SNSを運営してから稼働率を2倍に引き上げた「SNSを活用した自社宣伝方法」について話を聞いた。 【馬場 遥】
□“うちの強み”潜在顧客まで届ける
──大和屋の経営に関わるようになった経緯を教えてください。
2018年に実家の大和屋に帰ってきたとき、まずは本店のフロント・別荘の営業として配置されました。当時の別荘の稼働率は40%前後だったので、リアルエージェント(RTA)に営業を掛けに行っていました。そのなかで、業界知識を得ていったカタチになります。
働いているうちに、「もっとうちの宿を知ってもらえる方法があるのではないか」と考え、オンライン旅行会社(OTA)に目を付けました。集客をするためには、お客様に周知することが必要です。当時はまだ新進だったRelaxやゆこゆこ、アゴダなど、片っ端から契約し、とにかく「大和屋別荘」がお客様の目に付くようにしました。
OTAにシフトした結果、客数が伸びて売上が上がり、19年には思い切って値上げができました。
20年6月のコロナ禍に本店の代表取締役となり、「別荘でやっていることを本店でもやってくれないか」と言われ、本店の経営にも関わるようになりました。
本店は91室の大規模な旅館で、別荘は19室の小規模な旅館です。それぞれ価格帯も、客層も、強みも違います。
──OTAにシフトしSNSでの発信をするようになってから、何か変化したことは。
SNSでの発信を積極的に行うようになった時期と、コロナ禍に突入した時期が重なっています。
当社も例に漏れずコロナ禍の影響を受けましたが、別荘の稼働率は、21年1月は30・2%に留まり、現在22年7月では……