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全旅連青年部、労務ツールセミナー開く 使用事例紹介し、生産性向上へ

2022年10月11日
編集部:木下 裕斗

2022年10月11日(火) 配信

部長の星永重氏

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(星永重部長)はこのほど、オンラインセミナー「労務系デジタルツールの活用を始めませんか」を開いた。さまざまなデジタルツールがリリースされるなか、会員の使用事例を紹介し、会員各社の生産性向上に役立ててもらう考えだ。

 星部長は冒頭のあいさつで、観光を日本の基幹産業とする目標のために、労務系デジタルツールによる宿泊業界のさらなる活性化の必要性を語った。

 はじめに、会員施設などに向けた求人サイト「旅館・ホテルでおしごと.net」を運営するHRソリューションズ取締役の金子正一氏が登壇した。

金子正一氏

 金子氏は2022年7月の求人件数の増加率について、全産業の平均が、前年同月比12.8%増に対し、宿泊業・飲食サービス業が同47.7%増だったことを紹介。「人材の獲得は、ほかの産業よりも厳しい状態」と話した。

 一方、全求職者のうち採用された人の割合を示す就職率はコロナ前から約4%低下した。理由として、コロナで働くことに不安を感じている人がいることや、雇用側が求める人材像と応募者の乖離の可能性を指摘し、「働く人の立場に立ち、仕事や職場などの魅力を伝えてほしい」と語った。

 そのうえで、求人情報を載せる媒体は「多くの情報誌が休刊になり、紙の時代は終わった」とし、グーグルやヤフーなどの検索エンジンでも表示される「旅館・ホテルでおしごと.net」への掲載を勧めた。

 次に労務委員会委員長の菅原真太郎氏(大阪府・ホテルプラザオーサカ取締役)が登壇し、従業員同市の連絡でLINE WORKSを活用しているようすを伝えた。

労務委員会委員長の菅原真太郎氏

 同ホテルでは昨年5月から、LINE WORKSを導入。これまで、約140人の従業員に紙またはメールで連絡事項を知らせていたが、見ることができなかった従業員がおり、クレームも発生していたという。

 これを受け、通知機能や未読を管理できるシステムとして導入を決めた。読んでいない人には閲覧を促すメッセージを送信するなどし、伝達漏れを防いでいる。

 「LINEを使う人は多いので、全従業員にスムーズに導入できた」と魅力を語った。

 また、福利厚生として神奈川県・箱根にある7施設が、地域で働くスタッフに専用の宿泊プランを販売している事例を紹介。各宿は販売したい日付を決めることができるため、閑散期の集客につなげることができるほか、従業員は他館の魅力も知ることができるとした。

 予約はスタッフ向けのチラシにあるQRコードを読み取ることで、表示されるページで行う。

 労務担当副部長の桑島敏彦氏(北海道・北こぶし知床ホテル&リゾート専務取締役)は勤怠管理システム「ジョブカン」について説明した。

労務担当副部長の桑島敏彦氏

 同システムは出退勤と給与計算、有休休暇の残り日数を把握することができる。以前の給与計算はスタッフが1日中、エクセルのみで専念していた。昨年8月には、同システムを導入。「遅早退などを反映した給与計算が手間なく速くなった」と話した。

 ログイン中のタイムアウトが頻繁に発生するため、アプリのリリースなどの改善点も挙げた。

 労務委員の小川尊也氏(神奈川県・一の湯社長)は、マニュアル作成について講演した。

労務委員の小川尊也氏

 同社は作業を誰でもできる状態にして生産性を向上させるほか、品質も安定させるため、マニュアルを作成。これまでは紙で発行していたが、更新内容を業務に反映する時間が掛かり、膨大な印刷費が掛かることが課題だった。

 そこで、マニュアル作成・共有システム「ティーチミー・ビズ」を採用。導入後は例外行動の発生による改善点などを随時、書き込んでいる。「品質も安定し、顧客満足度が向上した」と語った。

 紙の廃止では、作成費用は約9割削減できた。動画マニュアルも制作することで、マンツーマンの指導時間を約20%削った。

 このほか、同社では客室に置く館内インフォメーションをQRコードに変え、宿泊客のスマートフォンで館内のサービスなどの情報を得るよう促している。

 「内容が変わった際に、全客室分の印刷物を刷り、部屋を訪れ、ファイルに入れる作業の時間を短縮するため」と理由を説明した。

 最後に桑島副部長は「宿のデジタル化は必須になった。有益な情報を与えられるよう努めていきたい」とまとめた。

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