「津田令子のにっぽん風土記(90)」古くて新しい 日本の真ん中「近江八幡」~ 滋賀県近江八幡市編 ~
2022年10月12日(水) 配信
「滋賀のイメージをたずねると、びわ湖、近江商人、織田信長の安土城、そして、鮒ずし、近江牛などスラっと出てくるのですが、日本の真ん中にある滋賀県、その真ん中にあるのが近江八幡ということを、ご存じでしょうか」と近江八幡観光物産協会の田中宏樹事務局長はおっしゃる。
「京都へは大勢の方がいらっしゃっていますので帰りにでも、立ち寄っていただけたらうれしいですね」と控えめに話す。東海道新幹線の米原駅から20分、京都の隣に位置し、近江八幡までは電車で30分と近いのだ。
「観光シンボルはなんといっても八幡堀です」と田中さん。「元々は城の堀として作られましたが、単なる防御の堀ではなく、運河として作られたことで経済が活性化し、近江商人の発祥にもつながったのです」。風情ある町並みは、時代劇のロケ地など画面を通じてご覧になっている方も多いはず。
今年4月から八幡堀は夜間にライトアップが始まった。場所は白雲橋―明治橋までの約120㍍。点灯時間は日没30分前から午後9時まで。95カ所にLED照明が設置され、調色が自在にできるため四季によって照明の色を変え、景色が映えるようライトアップされる。照明や配線は擬岩などで隠され景観に配慮している。
関東では山の上ホテル、明治学院大学、静岡ではマッケンジー邸など、ヴォーリズが手掛けた建築物が数多く残っている。10月10日までウォーターハウス記念館、アンドリュース記念館、ヴォーリズ記念館の3館を特別公開する「ヴォーリズ建築めぐり2022秋」が実施され、多くの方が参加されたという。
「今年は聖徳太子薨去(没後)1400年の年に当たります。聖徳太子といえば、奈良や大阪のイメージがありますが、実は聖徳太子ゆかりの伝説は、滋賀(近江)が一番なのです」。没後1400年を記念して、来年12月まで東近江地域の太子ゆかりの社寺で特別公開などが行われる。
「近江には200以上の聖徳太子に関する歴史文化遺産が伝えられています。聖徳太子にまつわる伝承に触れ、「『この景色も聖徳太子が見たのかな』と想像しながら、聖徳太子の足跡を巡ってみるのも面白いと思います」と田中さんは話す。
「時代遅れのようですが、大切なものを残し守っています。派手さや器用さはないけれど、地味ながらも、優しく温かいまち。古いようで新しさもあるまち、近江八幡にぜひ足をお運びください」と魅力を語る。
津田 令子 氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。