インバウンドガイド協会、新代表理事に吉川氏 ガイド人材の育成を推進 ”弘前でガイド講座開催”
2022年10月19日(水)配信
インバウンドガイド協会(久保成人会長、東京都千代田区)は10月19日(水)、新たな代表理事に吉川健一氏(BRICK’s社長)、専務理事に堀口謙二郎氏(旅行綜研取締役)の就任を発表した。あわせて、新たに「ガイド育成プログラム」を開発。同プログラムを通じて、地域でのガイド人材育成を推進し、地域観光の担い手となるガイドの育成に一層力を入れる。
新代表理事の吉川氏は「アフターコロナにおけるインバウンド旅行市場の回復で需要の高まるこのタイミングこそ、ガイド人材のベーススキルを上げることが必要」。新たに開発したガイド育成プログラムを通じて、「全国の自治体や観光協会、DMOなど、関係各所の皆様一緒にガイド人材の育成を進めていく」とコメントを出した。
ガイド育成プログラムは、同協会が策定するガイドに求められる素養と行動基準を定義した「ガイドスキルマップ」準拠の20種類以上の研修モジュールから構成。同協会副会長で全国通訳案内士のランデル洋子氏監修のもと、開発した。研修モジュールを組み合わせてガイド初心者から上級ガイドまで、領域別・レベル別にカリキュラムを組み立て可能。プログラムを通じて、ガイドに求められる要素を網羅的かつ体系的に習得できる。
□育成プログラムを基に、弘前でガイド講座開催
インバウンドガイド協会はガイド育成プログラムを基に、地域の課題やニーズに合わせた講座カリキュラムや提供サービスを提案している。10~11月までの1カ月は、青森県弘前市の弘前観光コンベンション協会と共同で「プライベートガイド講座in弘前市」を開き、全6回の講義とフィールドワークを行っている。
弘前市は「さくらまつり」や「ねぷたまつり」などの催しから、城郭・近代建築といった文化財などのさまざまな観光資源を有し、以前からその案内としてボランティアガイドの養成講座を行ってきた。今回、さらなる来訪者の増加、満足度向上に向けて有償ガイドの育成に取り組み始めた。
全6回のうち第3回目をこのほど終えて、弘前市観光部観光課の村山佳光参事はボランティアガイドの講座と比べて「多様な参加者が集まり、若年層の参加が多かった」と振り返る。ボランティアガイド経験がある年配者をはじめ、一般の人や学生、副業が認められた金融系など幅広い層の参加者が集まったという。フィールドワークでは実際に市内の観光名所を巡り、講義で学んだガイド業務の流れと基礎スキルを基に、参加者同士で観光案内の練習を行った。
村山参事は、弘前市が抱える観光の課題について「催しや文化財、入込客数も多いが、通過型観光で宿泊が伴っていない。(高付加価値な観光サービスを提供する)有償ガイドが付くことで、宿泊や連泊を促したい」と意気込んだ。一方、ボランティアガイドは、催し会場などを1、2時間で案内するスポット的な起用として住み分けることで、両者が共存できる環境を整えたい考えだ。