免税店半年で6割増、7割が3大都市圏に集中
10月1日の外国人向け消費税免税制度改正により、対象が全品目へと拡大したのを受け、現在、全国で免税店が拡大している――。国税庁がこのほど発表した、10月1日集計の全国の消費税免税店舗数は9361店舗。4月1日集計の5777店舗から半年で3584店舗増加し、比率では62・0%の増加となった。
【伊集院 悟】
◇
国税庁は毎年、4月1日集計の消費税免税店舗数の公表を行っていたが、10月1日の消費税免税制度改正による免税店拡大を受け、特別に10月1日付での店舗数を集計した。
さかのぼると、12年4月1日が4173店舗、13年4月1日が4622店舗、14年4月1日5777店舗であったのに対し、14年10月1日は9361店舗と半年間で飛躍的に拡大。14年6月に閣議決定された「日本再興戦略」改定2014のなかで、「20年に向けて全国各地の免税店を1万店規模へと倍増させる」と謳っており、目標に一気に近づいた。
都道府県別の店舗数割合をみると、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫の3大都市圏で69・9%を占めている。地方では大型旅館などが免税店許可を取得する動きが出ている。
久保成人観光長官「地方へ拡大も」
委託許可に期待
観光庁の久保成人長官は11月19日の会見で、消費税免税店について、「訪日外国人の消費額は年々増加しており、買い物場所の1つである消費税免税店の店舗数を拡大することで、さらなる消費の活性化につながる」と語り、「半年間で3584店舗増えた意義は大きい」と強調した。
ただし、大都市圏に偏る店舗数についても指摘し、「大都市圏だけでなく、地方へも拡大していくことが重要。地方での免税店舗数拡大で、地方での外国人消費活動の活性化につなげたい」と語った。
観光庁では17年度税制改正要望で、免税店を地方へ拡大するうえで、「第三者に免税手続きを委託することを可能とするとともに、委託を前提にした免税許可申請を認める」ことを要望している。認められると、店舗で行うのは商品販売のみとなり、地方店舗での免税手続きにかかる負担が大幅に軽減される。また、店舗ごとに何度も免税手続きをする必要がなくなり、専用カウンターでまとめて手続きできるようになることから、外国人旅行者の利便性も向上するとみている。
久保長官は「委託ができるようになれば、地方での免税店舗数拡大につながる。また、消費税免税制度改正は10月からなので、これからの方が拡大の余地がある」と期待を込める。