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〈旬刊旅行新聞12月1日号コラム〉神奈川県・愛川町――自然豊かなルートに魅了された

2022年12月1日
編集部:増田 剛

2022年12月1日(木) 配信

 今年の年末まで実施予定だった全国旅行支援が、2023年も再開される方針だ。割引率は20%と、現行の40%からは縮小されるが、観光業界が以前から要求していた「長期にわたる支援策」が実施されることになる。

 

 新型コロナの感染状況を踏まえて決定されるとのことだが、年が明けて1月、2月の旅行需要の冷え込みが予想される時期での支援策は心強い。

 

 

 かくいう私はしばらく旅行から離れて、休日は部屋の中でリクガメと遊んで暮らしている。

 

 ヒガシヘルマンリクガメの亀吉クンが我が家に来てから、間もなく2年となる。当初は180㌘しかなかった体重が、今は320㌘まで成長した。こんもりとした丸い背中で、フローリングの部屋を行ったり来たりする姿を見ているだけで微笑ましくなる。

 

 それだけではない。最近はなんと懐いてきているのだ。寒くなると変温動物のリクガメは活動量が激減する。このため、私はいつも手のひらで温めたり、温浴をさせたり、一緒に寝たりしている。すると、寒くなると私のそばに寄ってくるようになった。これが可愛くて仕方がない。

 

 また、お腹が減ると、近くに来てウロウロしたり、首を伸ばして見上げたりもする。そうすると大好物のトマトやバナナ、ミカン、トウモロコシなどをあげる。このコロナ禍で、ストレスが強い時期を過ごしてきたが、リクガメのおかげでささくれだった心が何度も癒された。

 

 ネットやSNS、テレビでも、雄弁な者の発信が旺盛な世の中になっているが、何も語らない寡黙なリクガメと静寂の時を過ごすことのありがたさを日々感じている。

 

 

 さて、神奈川県に私がしばしば訪れる宮ヶ瀬湖に行く途中に、愛川町という小さな町がある。自然豊かな土地だという印象は持っていたのだが、今まで愛川町の魅力のほんのわずかしか知り得ていなかったことに、先日気が付いた。

 

 いつもバイクで走る相模川沿いの道路は信号がほとんどなく、渋滞も少ないためお気に入りツーリングルートであったが、もう数百回も走っているので、さすがに飽きがきていた。

 

 そこで、新たなルートを開拓すべく、地図を眺めていたら、川沿いの道に並行するように、細い道が宮ヶ瀬湖まで続いていた。私のバイクにはナビゲーションシステムがないので、頭の中にルートを叩き込んで走った。 すると、そこには俗界を離れた桃源郷のような風景が広がっていたのだ。

 

 

 大袈裟な表現に感じられるかもしれないが、原生林があり、自然のままの姿の川の上流がある。人々の暮らしを感じられる小さな民家や、お洒落なカフェ、畑や田んぼが移り変わっていく道が延々と続いていく。場所によっては北海道のような広がりや、東北の田舎道を想起させるような自然に満ちたエリアが続く。道すがら、オレンジ色に実った柿やミカンが点在しており、その豊かさに魅了されてしまった。これからこの町とより深く付き合っていきたい。

 

 晩秋から初冬にかけて、空気はひんやりとするが、果物の果実がそこかしこに実っている風景を眺めるのは心豊かな体験となる。私は道の駅のようなところで、袋一杯の柿を買って、愛するリクガメと一緒にたらふく食した。

(編集長・増田 剛)

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