嵐渓荘 11月「翠悠館」オープン ワークデスク、ベッド、テラス備える
2022年12月3日(土)配信
山里の渓流沿いの一軒宿。国登録有形文化財の宿である新潟県・越後長野温泉「嵐渓荘」(大竹啓五社長)は、旧「りんどう」の客室を改装して「ワークデスク+ベッドルーム+テラス」の「翠悠館」として、今年11月にリニューアルオープンした。
旧「りんどう」の既存客室は設えや設備の老朽化が著しく、快適性が維持できなくなった。和室6畳2室と8畳2室の合計4室だった客室を、それまでの躯体を生かしながら外部の自然を取り込んで、和室6畳2室部分を1室(2―5人対応)とした。
リニューアルした客室(計3室)はこれまで無かったベッドルームの客室とし、ワーケーションに対応すべく、Wi―Fi環境の改善、ワークスペース、水回り、自然を体感してリフレッシュできるデッキを設置。機能とデザイン性を高めて収益率の高い客室に改修した。
新しくなった「翠悠館」は、山手に面した平屋のベッドルーム+テラス付で、3室とも異なる意匠の和洋室に生まれ変わった。
「花筏」と「木蓮」は広さ12・5畳(定員2―3人)、2ベッドで3人宿泊の場合は1台エキストラベッドで対応する。「みず木」は広さ20畳(定員2―5人)、こちらは2ベッド(+エキストラベッド2台あり)のほか、布団対応で最大5人まで宿泊可能。
さらにコロナ禍で遊休施設となっていた既存宴会場をコワーケーションルーム(会議室兼食事処)に改修。新規市場として、リゾートワーケーション、1人ワーケーション、企業マッチングによる会議・食事、インキュベーション(勉強会)をターゲットとした新規顧客層の開拓をはかる。
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同館の大竹社長に事業再構築の狙いと今後の目標を聞いた。
「事業再構築補助金を活用した『客室』『ワークルーム兼食事処』の改修は予想していた以上によくできたと思います。周囲の里山の自然をほどよく感じながら、創造的な業務に1人でも、仲間とでも集中できるワーケーション環境が用意できました」と話す。
「補助金対象外の工事でしたが、建物が囲む中庭を修景造園し、清流守門川の流れも引き込みました。風と水の音と陽光を感じながら屋外でミーティングができる小さなデッキスペースなど、とても居心地がよい場所ができました」と説明する。
今後の目標については「『仕事創りの宿』というテーマを深めていきたい。嵐渓荘は新潟県・燕三条エリアにあります。オープンファクトリーや体験型農園など、燕三条には『大人の修学旅行』先として相応しい、新分野に挑戦する工場や農園がたくさん存在しています。そうした施設の見学や体験でビジネスに通じる刺激を受けていただき、できれば嵐渓荘に少なくとも2泊して日ごろの職場ではなかなか創造できないものをお客様に掴んでいただければ」と語る。
【古沢 克昌】