「日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー2022」発表 グランプリは「下呂温泉観光協会」 優秀賞は「熱川プリンスホテル」と「常磐ホテル」
2022年12月11日(日) 配信
旅行新聞新社(石井貞德社長)は12月11日(日)、取材活動などを通じて見聞きした今年の観光業界の取り組みの中から、創意工夫の見られるものを独自に選び、表彰する「日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー2022」を選出した。同賞は昨年創設し、今年が2回目の実施となる。グランプリは、「E―DMO」による持続可能な地域づくりに挑戦する「下呂温泉観光協会」(岐阜県)を選んだ。優秀賞には「熱川プリンスホテル」(静岡県)と、「常磐ホテル」(山梨県)を選出した。
日本ツーリズム・オブ・ザイヤー2022のグランプリに輝いた「下呂温泉観光協会」(瀧康洋会長、岐阜県・下呂温泉)は、エコツーリズムの理念をDMOにプラスした「E―DMO」による持続可能な地域づくりに挑戦している。
同協会は17年に観光振興体制の確立を目指し、DMO(観光地づくり法人)として法人登録。統計データに基づく観光プロモーションや商品企画に取り組むなか、国の「重点DMO」にも認定された。一方、16年には下呂市エコツーリズム推進協議会を設立し、経済活動と環境保全の両立にも注力する。
DMO側はプロモーション、エコツーリズム側は資源の保全・活用を担う下呂独自のモデル「E―DMO」として発展を続けている。地域や住民の一体性ができ、地域の魅力を“見える化”にも寄与し、持続可能性の高い取り組みとして期待されることが評価された。
優秀賞の「熱川プリンスホテル」(嶋田愼一朗社長、静岡県・熱川温泉)は、カルチャー教室「ミヂカル」事業を8月にスタートした。館内にミヂカル専用の部屋「マルチスペース茅舎」(BOUSHA)を設け、エクササイズや料理、クラフト、ヒーリングの4つのカテゴリーに分けたさまざまな講座が受講できる仕組み。
専用のルームを設け、講座の種類も多岐にわたるなど、街中のカルチャー教室と遜色ない内容を提供。地元住民やホテル滞在者にも開放。地元住民と観光客の交流の場にもなっている。
同じく優秀賞の「常磐ホテル」(笹本健次社長、山梨県・信玄の湯 湯村温泉)は、「やまなしグリーン・ゾーンプレミアム」初回認証交付に選ばれた。既存の「やまなしグリーン・ゾーン」認証制度の上位に位置づけられるもので、最新の感染症予防対策機器の導入や従業員への教育徹底など、厳格な対策が求められる。
また、コロナ禍にも関わらず積極的な投資を行い、全客室を一新。駐車場にはポルシェの大型充電施設をいち早く導入するなど、電気自動車対応のシステム導入にもいち早く取り組んだ。武田信玄公生誕500年を機に温泉名を「信玄の湯 湯村温泉」と改名し、ホテルだけでなく温泉街の再構築に向け、外湯や足湯広場、廃業旅館の復活再生事業にも着手している。
さらに、今年は特別賞として「全国運輸環境協会」(竹島美香子会長、東京都新宿区)を選んだ。コロナ禍で旅行会社とバス会社の団体客が減るなか、新たな需要を獲得に取り組んだ。
□23年1月13日(金)に「100選」会場で表彰
日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー2022のグランプリ、優秀賞、特別賞は、23年1月13日に京王プラザホテル(東京都新宿区)で開催する旅行新聞新社主催「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」などの表彰式会場で表彰する。
受賞者の取り組みについては、順次、本紙で詳しく紹介していく。