【PR】インタビュー「選ばれる地域であり続けるために」 八ヶ岳観光圏が取り組むサステナブル・ツーリズム
2022年12月20日(火)配信
□観光地に求められるもの
UNWTO(国連世界観光機構)が、「責任ある旅行者になるために推奨される具体的な行動例」のヒントにしているのは、「その土地の環境や文化等に配慮した旅行商品の利用」や「自然環境への負荷軽減を意識した行動」「地元産品の消費や購入」「旅行先でのポジティブな経験」など、ただ旅をするのではなく、環境や文化健康を意識した旅行プログラムの利用です。私たち、八ヶ岳観光圏(山梨県北杜市、長野県富士見町、原村)では、この世界ツーリズムの動向に対応するために「地域資源を活用したサステナブルな未来創造事業」に取り組んでいます。地域と来訪者の協働による取り組みで関係人口を増やす狙いも含まれています。
これからの観光は、日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)の取り組みの「多様性」と「郷土愛」による関係人口の創出が重要になると言われています。持続可能というと「環境」を思い浮かべることが多いですが、「経済・社会」も持続可能である必要があります。
現在、取り組んでいる事業も八ヶ岳の住民と訪問者が交流をしていくことを通じて、2拠点生活や移住も見据えたプログラムを開発しています。それはただ観光客に来てもらうということだけを考えているわけではありません。
登山道を地域の人と協働して整備をする。八ヶ岳の自然を教材として親子で環境保全について学ぶ。耕作放棄地を解消するプログラムを提供する。このような取り組みを活用して、持続可能な地域の実現を事業者や来訪者それに地域が住民一緒になって目指します。
また、(一社)八ヶ岳ツーリズムマネジメントだけでなく、住民や八ヶ岳事業者との協働があるからこの取り組みができています。私たちが採択を目指す「国補助事業」は、基本的には八ヶ岳観光圏内の事業者が既に取り組んでいることを後押しするような事業の申請を心掛けています。なぜなら、補助金欲しさに計画を書いて採択をされてから事業者を募るようなやり方では、補助金事業が終るとコンテンツの提供が止まってしまいます。持続可能ではありません。またサステナブルに私達だけが取り組んでいても、そうでない事業者がいると来訪者からするとチグハグに感じてしまいます。八ヶ岳の環境を守っていくことが事業者の収益になることに気づいてもらいながら、地域全体で仕組みをつくっていきたい。
ただ、私たちはサステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)への取り組みをしていますが、まだ道半ばです。私自身も勉強している途中です。もしかすると今言っていることややっていることがこれから先変わっていくかもしれない。でも完成して、これでおしまいという取り組みではなく、継続・持続していくことがサステナブルと考えています。
話者:(一社)八ヶ岳ツーリズムマネジメント 代表理事 小林 昭治 (こばやし しょうじ)氏