津田令子の「味のある街」「花恋」――丸山菓子舗(長野県安曇野市)
2022年12月24日(土) 配信
1909(明治42)年創業の丸山菓子舗は安曇野の心を映す安曇野銘菓が数多くあると好評を博している。「季節の移ろいを五感で感じることができる安曇野の素晴らしさを、お菓子を通じて地元の方はもちろん全国の方に少しでもお伝えしたいという思いから日々、お菓子作りに邁進しております」と4代目社長の丸山明男さんは語る。
「北アルプスを背景に山裾に白く可憐に咲くリンゴの花をイメージして作られたのが花恋です」。「選ばれた恋」というリンゴの花の花言葉をヒントに命名したという丸山社長自慢のお菓子を紹介しよう。
北海道産無塩バター、マスカルポーネ、生クリームをふんだんに使用した口どけなめらかな特製ミルク餡が特徴。しっとりとしたミルク生地で包み、特注した林檎の花びらの型にもこだわり上品に仕上げている。あづみ野・花恋と書かれたセンスのよい淡いピンク色の個包装を開けると、ふわっとミルクの香りが漂ってくる。ちょうど手のひらに収まる直径5㌢ほどの食べきりサイズ。口に入れると、甘~いミルクの風味とともにさわやかな安曇野の風景が広がってくる。白い花びらをほんのり染めた、あづみ野に咲く可憐なリンゴの花そのものだ。1つ162円(税込)の価格も魅力。軽くて、常温での持ち運びもOK。愛らしいネーミングも手伝ってお土産に買い求める人も多い。
丸山菓子舗の店頭には、毎日朝一番で作る「朝生」と呼ばれるお菓子が並んでいる。「寒さの中に立ち上がる湯気で蒸しあげるおまんじゅうや餅菓子など。その日のうちにお召し上がりいただきたい新鮮なお菓子ばかりです」と丸山社長。さらに「あぁそういえば……春になったから丸山の早春賦という春の薯蕷饅頭食べたいわね~と心和むような、季節の情感を思い出していただけたらうれしいですね」と満面の笑みで応えてくれた。
春にはさくら餅にうぐいす餅。夏は水まんじゅうにトマトゼリー。秋から冬にかけては、幸せモンブラン大福に栗きんとん。四季折々のお菓子を求めて安曇野を訪ねることにしようっと。
(トラベルキャスター)
津田 令子 氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。