【精神性の高い旅~巡礼・あなただけの心の旅〈道〉100選】-その21- 出雲大社&美保神社の両参り(島根県出雲市・松江市) 古代出雲巡る開運・両参り 生命力アップ 蛇信仰の聖地
2022年12月31日(土) 配信
島根県の西には出雲大社、東には美保神社があります。出雲大社には、縁結びのご利益があるオオクニヌシ様(大黒様)、美保神社には商売繁盛のご利益があり、恵比寿様の総本宮のコトシロヌシ様(恵比寿様)がお祀りされています。
実はこの神様方は、親子の関係。この親子の神様方を両参りすることで、さらなる開運効果が倍増するといわれています。えびす・だいこく参りとも呼ばれていまして、江戸時代に盛んに行われた風習とのこと。
さて、日本最古の歴史書「古事記」によりますと、オオクニヌシ様はとても偉大な力を持ち、私たちが暮らすこの地上の国を作り上げたので、「国づくりの神」とも呼ばれています。
国づくりといえば、オオクニヌシ様と、小さな神様であるスクナヒコナ様と出会って、功を成しました。このお2人の神様方の最大の功績は、日本に医療をもたらしたこと。スクナヒコナ様の強い生命力は、医薬から温泉・酒造にも及びます。
島根の玉造温泉は、スクナヒコナ様が発見し、温泉療法を伝えたといわれています。「伊予国風土記」によれば、愛媛の道後温泉の話が出てきて、オオクニヌシ様が大分・別府温泉の湯を地下を通して、瀕死のスクナヒコナ様に掛けると、スクナヒコナ様は何事もなかったように、生き返ったとのこと。
そのオオクニヌシ様をお祀りする出雲大社。出雲大社までは、出雲縁結び空港からリムジンバスで40分程度。両参りするには、先にお父様であるオオクニヌシ様から先に、お参りします。出雲では古代から、蛇信仰があります。また、10月のことを「神無月」といいますが、これはこの月に全国各地の神々が出雲に集まることからいわれていて、出雲では「神在月」になります。
神々は、旧暦の10月10日に海蛇に導かれて、出雲大社近くの稲佐の浜にお越しになります。この海蛇は、南海産の「セグロウウミヘビ」といって、非常に霊威が強いとされます。古代より、蛇を霊威の源として祀っていたのです。
出雲大社の写真にありますように、大きなしめ縄が飾られています。あれは、雄と雌の蛇が絡み合っているお姿なのです。しめ縄は日本全国どこの神社にもありますが、出雲大社のしめ縄はその大きさでも有名。ほかにも、しめ縄の大きさを誇る神社は多く、日本の神社のどこにでも、その神前に雌雄の蛇が祀られているということです。生命のエネルギーを表しているのかもしれません。
次はオオクニヌシ様の奥様とお子様である、ミホツヒメ様とコトシロヌシ様がお祀りされている美保神社へ。美保神社までは、JR松江駅から一畑バス、美保関コミュニティバスに乗り、1時間程度。
美保神社近くの美しく静謐な美保関は、航路関所が設けられた中世から近世にかけて、大いに栄え、小泉八雲は「夜になると、美保関は日本で最もにぎやかな港になる」と書物に書き残しています。
コトシロヌシ様は、恵比寿様信仰と習合して、船員や商人たちからも崇敬を集めました。美保神社では、毎年4月7日に行われる「青柴垣神事」があります。この神事は、国譲り神話をテーマに、重要な役を引き受けられたコトシロヌシ様が自ら海中に青い柴垣を作り、お隠れになったという故事にちなんだもの。これは、コトシロヌシ様の「死と再生」を象徴するお祭り。
ぜひ、両参りでさらなる開運アップを成就させましょう!
■旅人・執筆 石井 亜由美
東洋大学国際観光学部講師、カラーセラピスト。精神性の高い観光研究部会メンバー。グリーフセラピー(悲しみのケア)や巡礼、色彩心理学などを研究。