23年度観光庁予算、38%増の307億円計上 観光本格回復に向け、訪日観光に重点
2023年1月5日(木) 配信
政府は昨年12月23日(金)、2023年度予算を閣議決定した。観光庁関係予算額は、前年度比38%増の307億300万円(22年度予算額は222億5300万円)を計上した。22年度第2次補正予算の1500億2000万円を加え、同31・2%増の1807億2300万円を確保した。「観光立国復活に向けた基盤強化」と、「インバウンド回復に向けた戦略的取組」の2つを柱とし、観光の本格的な回復を目指す事業を盛り込んだ。
国際観光旅客税(出国税)財源の充当額は、23年度の税収見込みを200億円で概算し、宮内庁管轄の三の丸尚蔵館の整備費を引いて、197億3100万円を計上した。前年度が80億9500万円だったことから、2倍超の額となる。
東北の復興枠は、「福島県における観光関連復興支援事業」と、「ブルーツーリズム推進支援事業」に対し、前年度とほぼ同額の7億6900万円を計上した。
□観光の本格的な復活 訪日施策を手厚く
23年度の柱として、「観光立国復活の基盤強化」と、「インバウンド復活に向けた戦略的取組」の2つを挙げた。基盤強化では、観光資源の磨き上げや魅力向上、観光地域の足腰強化などを中心に取り組んでいく。
インバウンド施策においては、訪日観光のV字回復に向けたプロモーションに多くの予算を割き、早期回復を目指している。
①観光立国復活の基盤強化
「観光立国復活の基盤強化」で最も予算を割いた「文化資源を活用したインバウンドのための環境整備」では、同81%増の40億円を計上した。25年大阪・関西万博に向けて、文化資源を活用した観光コンテンツの磨き上げや創出を行う。また、戦略的なプロモーションを推進することで、観光インバウンドの需要回復と地方誘客、消費拡大を促進する目的。「Living History(生きた歴史体感プログラム)」として、城跡での茶会体験や忍者文化体験、古民家を宿泊施設へ転用するなど、文化財をインバウンド活用することで、地域活性化の好循環を創出するため、支援を行う。
「国立公園のインバウンドに向けた環境整備」には同16%増の25億4500万円を充当する。「ポストコロナを見据えた受入環境整備促進事業」は、同21%減の21億4300万円を計上した。
新規事業として、地域の食材を積極的に活用することによって食の価値を高め、宿泊業の付加価値の向上と地域経済への裨益効果を増大させる取り組みを調査・検証する「地域の資源を生かした宿泊業等の食の価値向上事業」に5600万円。また、「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりの支援」で、富裕層向けのインバウンド観光地づくりを推進するためモデル観光地を10カ所程度選定する。予算は1億円を計上した。
②インバウンド復活に向けた戦略的取組
日本政府観光局(JNTO)の活動経費に「戦略的な訪日プロモーションの実施」事業として、23年度観光庁関係予算の中で最高額となる同89%増の123億5600万円を充当する。デジタルマーケティングの活用でマーケティング基盤の強化を行うほか、ポストコロナにおいて訴求力が高い観光コンテンツの発信を強化していく。旅行者の意識の変化も踏まえながら、旅行消費額の増加や地方誘客促進を目指し、戦略的なプロモーションを実施する。
このほか、「円滑な出入国の環境整備」に36億4800万円を充てる。ストレスフリーで快適な旅行環境を目指し、ディープラーニング技術を用いた個人識別情報システムや、顔認証システム、出入国手続き時の多言語対応の強化など、最先端技術を用いて旅客の待ち時間の短縮をはかる。