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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(145)混雑する中でも感謝の想いを伝える行動を 顧客情報をもてなしに

2023年2月11日(土) 配信

 

 全国割が実施され、インバウンド客も少しずつ戻ってきました。ホテルのフロント周りは多くの人で混み合い、これまでスムーズだったチェックインも長い時間が必要となっています。ワクチンの接種証明書に有効期限はないので、個人確認ができれば記録にあると思うのですが、この1カ月に宿泊したホテルで何度か確認されました。ここで不快な想いをさせては、これから始まる滞在に高い満足度を提供するのは難しくなります。

 先日、約1年ぶりに利用したホテルで、「いつも喫煙室のご予約ですが、今回は禁煙室でのご予約をいただいております。変更いたしましょうか」という、感動の言葉を掛けられました。私も喫煙室希望でしたが、満室で予約が取れなかったのです。

 お客様の中にはこの1年で禁煙した人もいるかもしれないので過去の顧客情報から、事前に部屋を変更していただくホテルもあります。ただ、可能であれば準備をしておきチェックイン時に確認した方がより良いでしょう。

 そのホテルでは、さらに「お部屋を替えることで、いつものようなベッドメイキングができておりません」と言われて驚きました。ホテルがオープンしたころ、「掛け布団のシーツが深くマットの下に入れられていて、休むときに寝苦しい。もう少し緩めに入れてもらえればうれしい」という要望をしました。次に宿泊したときには、「いかがでしたか」と、前回聞いたことが希望通りに実行されていたかどうかの確認がされたのです。

 それから5年間、私が泊まる部屋のシーツは、いつも希望通りにされていました。違和感を持ったときには強く記憶に残るのですが、改善されるとその違和感が記憶に残らなくなってしまうものです。しかし、その環境こそが居心地の良さを生み出し、またここで過ごしたいという想いを高めます。

 チェックインのあと、一旦部屋に入りましたが、荷物だけ置いてすぐにトップ階にあるレストランに行きました。そこでまた驚くような光景に出逢ったのです。入口で迎えられて、カウンターに案内されましたが、そこには私宛のメッセージプレートが既に用意されていたのです。

 チェックインから10分も経っていません。レストランに来るかどうかも分からず、時間もないなかで席を取り、メッセージを用意する。ただ1人のお客様のために温かく迎える準備と手間を掛けてすること。人との接触が少なくなった今だからこそ、こうした小さな感動が心に残るのかもしれません。チェックアウト時には、「1カ月遅れになりましたが、お荷物にならなければ良いのですが」とアロマのセットをプレゼントしてくれました。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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