〈旬刊旅行新聞2月11・21日合併号コラム〉―― サイクルツーリズム 観光地の周遊を促し滞在を延ばす
2023年2月19日(日) 配信
先日、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで、東急ホテルズセールス&マーケティング部顧問の西尾敏宏氏と、島根県安来市でサイクルツーリズムなどに関わる門脇修二氏、そして虎ノ門ヒルズをベースにサイクリング事業を行っているBREZZA代表の筬島洋敏氏と会食した。
最近は、セルリアンタワー東急ホテルで観光イベントが多い。コロナ禍前から渋谷を訪れる機会はめっきり少なくなっていたが、セルリアンタワーには足繁く通っている。
昼食時であったので、ホテル内の中国料理「スーツァン・レストラン陳」で少し辛めの本格四川料理の麻婆豆腐をいただきながら、最近の観光業界の動向など情報交換した。
東急関連では、今年4月14日に「東急歌舞伎町タワー」が新宿歌舞伎町に開業する。ホテルや映画館、劇場、ライブホールなどのエンターテインメント施設などからなる、地上48階・地下5階・塔屋1階で、高さ約225㍍の超高層複合施設が現れる。
3年間続いたコロナ禍から抜け出し、インバウンド観光客が多く押し寄せる時期に合わせたようなタイミングで、新宿歌舞伎町のランドマークとなるタワーが誕生する。個人的にも、とても楽しみにしている。
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さて、観光庁は新たに策定する「観光立国推進基本計画」で、2025年時点で、訪日外国人旅行者の1人当たりの消費額を20万円にする目標だという。コロナ禍前の19年は15・9万円だったので、大幅な消費拡大へと舵を切ることになる。
これまではどちらかと言えば、訪日外国人旅行者数など量を追い求める傾向が強かったが、日本の観光政策も「量」から「質」へと大転換期を迎えた。
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渋谷で4人での会食中の主な話題は、サイクルツーリズムだった。筬島氏は、在日外国人を含む外国人観光客が自転車での観光を楽しむ傾向が年々強くなっており、ガイドとともに東京都内の裏道を走るツアーなども人気が高いという。
私がしばしばオートバイで走る神奈川県の宮ヶ瀬湖に通じるロードにも、休日にはサイクリストたちでいっぱいだ。
また、日本各地の観光地でもレンタサイクルを多く見掛けるようになった。沖縄の竹富島を訪れた時は、宿泊したホテルで自転車を借りて、島中を走り回り、浜辺の猫たちと戯れて遊んだ記憶がある。
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自転車とひと口に言っても、最近は電動自転車も増え、多種多様になった。徒歩だけでなく、自転車、あるいは電動自転車を活用することによって、行動範囲が飛躍的に拡大する。
そういえば一昨年の秋に、石見銀山を訪れた。電動アシスト付き自転車の貸し出しを行っていたが、私は「徒歩でいく」と決心し、龍源寺間歩まで歩いて登っていったが、後から来る自転車にどんどん追い越され、「あぁ、自転車を借りればよかった」と何度も後悔した。
自転車での観光が広がれば、観光地や温泉地での過ごし方が変わってくる。多くの観光地では「長く滞在してほしい」と願っていても、旅行者はあっという間に去ってしまう。自転車で周遊できるお洒落なカフェや、小さな美術館、地元の人しか知らない写真映えスポットなどを記した地図があれば、滞在を促すきっかけになるのではないかと思う。
(編集長・増田 剛)