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半田市で着地セミナー、成功事例と課題を共有

全国から80人が集まった
全国から80人が集まった

 愛知県の半田商工会議所と知多半島観光圏協議会は昨年12月12、13日、半田市内で「観光ビジネス創出交流会 in 知多半島――着地型旅行活性化をめざして」を開いた。同セミナーは、観光庁の「観光地ビジネス創出の総合支援」認定事業の一環で、観光庁のほか、全国旅行業協会、日本旅行業協会などが後援。着地型旅行を造成、または関心のある全国の旅行会社や自治体、商工会議所、観光協会などから約80人が集まり、成功事例の報告や販売と集客などの課題点について情報共有した。
【伊集院 悟】

 セミナー冒頭のあいさつで、半田市商工会議所の筒井保司副会頭は「観光地ビジネスの自立を目指す取り組みとして、全国各地で着地型旅行が造成されているが、販売方法や集客など課題が多いのが現実。どのように情報発信し、安定性と採算性を高めていくかを考え、着地型旅行の未来を明るいものにしていきたい」と趣旨を語った。

 1部は後援の観光庁から観光地域振興部観光資源課ニューツーリズム推進官の水口幸司氏が登壇し、観光の現状と観光庁の取り組み、ニューツーリズムについて紹介した。2部は事例報告が行われ、熊本県阿蘇市が行う「然」ブランドの取り組みと、岩手県の花巻観光バスの着地型旅行への取り組み、まち&むら研究所の谷本亙氏による「食と日本酒をめぐるまちづくり――酒造をめぐるツアー」、南知多観光協会の取り組みが紹介された。

 阿蘇市では観光協会と阿蘇市観光まちづくり課が13年秋に「然」ブランドを立ち上げた。トップダウンによる少数精鋭で事業を進め、モノではなく“人”にスポットを当てブランド化。テレビ番組で全国放送され、人と人の連携やコラボ商品の開発など市民の「やる気」が喚起され、地域が活性化されてきた。

 3部の分科会では4つのグループに分かれ、事例報告をもとに、販路や課題などについて話し合った。阿蘇の事例報告者が中心となった分科会には、同じく自治体や観光協会などが参加。行政主導で行う取り組みの「公平性」について、「行政の公平性はブランドを壊す」との指摘も出た。行政と民間が一緒に取り組む強みとしては、行政が人を発掘し、産業や伝統を守り、民間が流通や経営を行うことなどが挙がった。

 また、ブランドやグループを構成している人たちの、品質を高めるための研修や連携、パッケージなどでの付加価値など、今後の課題も提起された。「行政でクリエイティブさを出すことや新しいことをやるのは難しい」と地域からの実感の声が挙がり、「内部からやろうとすると難しいので、市長の『鶴の一声』など、トップダウンで行うとうまく進む」との方法論も意見された。

 同セミナーは毎年継続して行うことが決まり、来年は熊本県阿蘇市を予定する。

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