23年は海外旅行回復へ 心理的ブレーキを解き放ち、ムード復活の契機に(JATA経営フォーラム)
2023年2月22日(水) 配信
日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長)は2月21日(火)、オンラインで「JATA経営フォーラム2023『旅行業再生~質的転換へのアクション~』」を配信した。同フォーラムは3月31日(金)まで公開する。髙橋会長は冒頭あいさつで、訪日旅行と国内旅行の回復の道筋が見えている一方で、「2023年は依然として足踏み状態が続いている海外旅行をいかに回復させるかが、今年度のJATAの最大のテーマ」と話した。
5月8日(月)から新型コロナの感染法上の分類が2類相当から5類へ引き下げられることを受け、髙橋会長は、「海外旅行が回復しない理由について、コロナに対する不安や周囲の目を気にして委縮する人々のマインドセットに要因があると考えている。コロナが季節性インフルエンザ並みに扱われることで、人々の心理的ブレーキが解き放たれ、海外旅行ムードが復活するその契機になれば」と期待を寄せた。
また、JATAとしてやらなければならないことの2点に「海外旅行の機運醸成」と「新たな需要創造」を挙げた。
海外旅行の機運醸成では、昨年7月に行った海外旅行復活キャンペーンの第2弾を準備中だとして、会員の協力を呼び掛けた。
新たな需要創造については、「単にボリュームを増やせばいいというものではなく、我われ旅行会社が知恵を絞り付加価値を作り出して、お客様の琴線に触れるような旅を提供し続けることが旅行会社の存在価値である」(髙橋会長)という考えのもと、同フォーラムのパネルディスカッションで議論を深める。
このほか、昨年6月の定時総会において旅行業再生戦略会議の提言のなかで発表された、国内の宿泊・観光施設の基本情報を集約し、レジデンス機能を備えた「観光業共通プラットフォーム」の準備も進めていると報告。
また、会員各社の持続可能な取り組みを共有する目的で、SDGsアワードを23年から新たに行う予定だ。
同フォーラムの開催に当たり、観光庁の和田浩一長官は文面にて来賓祝辞を寄せた。
今後は引き続き国内外の観光需要の本格的な回復・拡大をはかることが重要だとして、「国内交流拡大」、「インバウンド回復」、「高付加価値で持続可能な観光地域づくり」の3つの戦略のもと、観光の復活に取り組んでいく旨を述べた。
基調講演には日本総合研究所会長の寺島実郎氏が登壇し、「2023年世界の構造変化の中で」をテーマに話した。
このほか、セミナーではコンプライアンスや持続可能な観光、インボイス制度などをテーマに3種類開催した。7つのパネルディスカッションは、観光関連業界から官民学の垣根なく有識者を集めて意見を交わし、旅行業経営について考える機会とした。