HMS 松井一郎市長が登壇 発足記念講演会を開く
2023年3月9日(木) 配信
ホスピタリティ産業の発展を目的とした産学連携組織「ホスピタリティマネジメント・スタディーズ(HMS)」の発足記念講演会が2月21日、大阪学院大学(大阪府吹田市)で開かれた。大阪市の松井一郎市長による基調講演のほか、有識者らによるパネルディスカッションが行われ、学校関係者やホスピタリティ産業従事者らが聴講した。
HMSは、大阪・関西万博の開催を2025年に控え、宿泊とブライダル、厨房設備、調理師といった今後、ますます大きな役割を担っていくホスピタリティ産業のさらなる発展と、そこに働く人々の幸福に貢献することを目的に、今年4月に発足する新たな組織。
観光学部などを有する関西圏の大学や観光、ブライダル、調理師などの各種専門学校、さらにはホテルや食料品製造、厨房設備といった各産業関係者が会員となり、定期的に勉強会や見学会などを開いて知見を広め、業界の発展に貢献していく。関係者と学生による情報交換の場も設け、将来を担う後進の育成にも取り組む。HMS会長には、大阪学院大学経営学部教授の森重喜三雄氏が就く。
記念講演会では、大阪市の松井一郎市長が「2025年大阪・関西万博と大阪IRを契機とする大阪の成長・発展に向けて」と題して講演。
松井市長は「世界のなかでも魅力的で住みやすい都市として大阪が上位にランクインしている。大阪は、さらに多くの人を迎えられる都市になる」と、大阪が持つポテンシャルを紹介。一方で、宿泊施設の少なさを課題に挙げ、「現在、整備している『うめきた』には、海外ブランドの高級ホテルが誕生するなど、宿泊施設を増やしている最中だ。万博時には、さまざまなニーズのお客様に対応できるようになる」とした。
IRについては「ギャンブル依存症対策はしっかり取り組んでいく。IRに多くの人が訪れることで、関西全体が活性化され、東京一極を解消することにもつながる。民間の方にも、ぜひ参画してほしい」と呼び掛けた。
パネルディスカッションは森重教授をコーディネーターに、大阪学院大学ホスピタリティ経営学科教授のテイラー雅子氏、オータパブリケイションズ制作ディレクターの長谷川耕平氏、カトープレジャーグループ取締役人事統括本部長の大山邦子氏、祇をん新門荘女将の山内理江氏、リーガロイヤルホテル(大阪)総支配人の中川智子氏の5人が登壇。「ウィズコロナ期におけるホスピタリティ産業の課題」をテーマに話し合った。
このなかで、山内氏は旅館の人材不足を課題の1つに挙げ「学生たちが旅館に勤めたがらない。ホスピタリティ産業の魅力を、もっとしっかりと発信していくことが我われの役目」と述べた。
中川氏は「コロナ禍で、接客をしたくても、その機会がなく、Zoomによる研修が多かった。現場での経験が不足し、思うようにレベルが上がらず、挫折して辞めていく人もいた」と振り返り「人材育成はしっかりとやるべき。若手だけでなく、新任の管理職に対しても、部下をどう育てていくかを学ばせることは大切」と語った。
ほかにも、長期雇用に関心がない若い世代の離職率の問題や、ホテル業界におけるDXの取り組みの低さなど、さまざまな課題が挙げられた。森重教授は「とくに人材育成は、大学としても重視すべき課題」とした。
最後に、森重教授は「HMSは、人と人の結びつきで業界の発展に寄与していく。学生や新入社員などの情報交換の場も設けたいので、若い人にどんどん入会してほしい」と呼び掛けた。