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【特集 No.629】室蘭市「白鳥大橋」魅力倍増プロジェクト インフラ活用“地域が稼ぐ観光”へ

2023年3月10日
編集部:増田 剛

2023年3月10日(金) 配信

 インフラツーリズムによる新しい北海道観光の活性化を目的に、北海道室蘭市(青山剛市長)では「白鳥大橋」魅力倍増プロジェクトが進んでいる。1月21日には、北海道開発局が“稼げる”観光地への可能性を探るシンポジウム「東日本最大の吊り橋・絶景の白鳥大橋の観光資源化」を開催した。西胆振地区の登別市、伊達市の首長も登壇し、自然や温泉など豊富な魅力と連携した広域観光についても推進していくことを確認した。

【増田 剛】

広域連携で競争力高める

 室蘭市は天然の良港に人とモノが集まり、古くから工業都市として発展した「鉄のまち」。大自然と工場群がコンパクトに共存する室蘭市を象徴するシンボルとして、勇壮な白鳥大橋がある。

 一般国道37号白鳥大橋(橋長1380㍍)は1998年、馬蹄型をしている室蘭市の両端を結ぶ東日本最大の吊り橋として誕生した。市内の企業が有する新しい技術や、製品も数多く使われているのも大きな特徴だ。

 開通から20周年を迎えた2018年に開催したシンポジウムで、室蘭市の青山市長は、「船でアクセスして主塔に登ることができるツアーを実施すると面白いのでは」と、公共施設を活用した大胆なインフラツーリズムの提案を行った。

 この提案をきっかけに、室蘭市と、国土交通省北海道開発局室蘭開発建設部は、白鳥大橋という公共施設を活用した“稼げる観光”を目指して、さまざまな検討がスタートした。

インフラツーリズム

 国土交通省は、インフラツーリズムの理念として次のように定義している。

 「インフラへの理解を深めていただくため、普段訪れることのできないインフラの内部や、日々変化する工事中の風景などの非日常を体験するツアーを展開することにより、地域に人を呼び込み、地域活性化に寄与することを目指すもの」。

 代表的なインフラツーリズムの例としては、2020年4月から運用を開始した八ッ場ダム(群馬県)や、巨大な「防災地下神殿」になぞらえられる「首都圏外郭放水路」の内部を巡るツアー、世界最長の吊り橋「明石海峡大橋」の高さ300㍍の主塔の上から体感するツアー、湯西川ダム(栃木県)に水陸両用バスで直接ダイブして遊覧するツアーなどがある。

 2020年8月には、国交省から「インフラツーリズム魅力倍増プロジェクト」の社会実験モデル地区(全国で7カ所)に選定された。

 民族共生象徴空間「ウポポイ」や、北海道を代表する温泉地・登別温泉、クルーズが人気を集める室蘭港などとの地域連携モデルとして、連泊客の増加やインバウンドの誘客も視野に入れ、「地域が稼ぐ観光」への取り組みが本格化していった。

高さ100㍍の主塔へ

 白鳥大橋は自動車専用道路のため橋上で駐停車できない。このため、主塔に登るには船に乗って主塔が建つ人工島に向かうことになる。主塔の「中間梁」と呼ばれる、海面から約100㍍の場所へは、エレベーターで昇る。そこは羊蹄山や駒ヶ岳も眺望できる360度の大パノラマが広がる絶景ポイントとなる。

 現在は地元のクルーズ運営会社「スターマリン㈱」(伊藤京香社長)が室蘭港内を船で一周し、主塔登頂と室蘭の工場群を海から間近で見学できるコースをいくつか設定している。……

【全文は、本紙1895号または3月14日(火)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

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