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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(146)サービス業を自分たちで盛り上げて行こう 小さなことも一生懸命

2023年3月13日(月) 配信

 

 出張で航空機を利用する機会が多くあります。チェックインカウンターでは機械化が進み、人と接する機会も少なくっています。接客を受けることが大好きな私にとっては、大変残念です。

 チェックインカウンターのスタッフと話したことが、客室乗務員に伝達され、驚くような機内サービスを受けたこともあります。お客様に関わるすべてのスタッフが、お客様から得た情報という宝をバトンリレーして創り出される最幸のおもてなしです。

 しかし、このような感動サービスを受ける機会が少しずつ失われています。人手不足と業務効率化から人による接客機会が減っているのです。「不快な想いをするなら、機械相手の方が良い」という声もありますが、これではサービス業の価値がありません。

 先日、羽田から大阪まで日本航空のファーストクラスに搭乗しました。私がこのクラスを利用するのは一番早く乗り降りできるからです。荷物を近くの棚に収納し、到着して素早く降りられれば、次の予定もスムーズに進められます。

 機内では、次の業務に向けて少しでも寝ることにしています。その日もそのつもりで搭乗したのですが、客室乗務員から掛けられた、とても素敵な言葉に感動しました。

 その乗務員は機内食のメニューを案内してくれましたが、私は最初、「おそらく寝ますので、食事は結構です」と答えました。普通は一旦ここで終了ですが、その乗務員は「かしこまりました。ただ、今日のデザート菓子は私も気に入った新しいものですが、それだけでもお召し上がりになりませんか」と勧めてくれました。非常に上手な話し方で、そのデザートにも興味が湧き、お願いしたのですが、つい寝てしまって目を覚ましたのは着陸時でした。

 降りるとき、乗務員から「お休みでしたので、お話ししたデザートだけでもお持ちになってください」と、袋に入った菓子を渡されました。後で食べてみると本当に美味しいお菓子で、後日通販で購入しました。小さな行動でもお客様に喜んでもらうことに一生懸命な人が現場にいることがうれしくなりました。

 ときには、理不尽で厳しい声を浴びるサービス業界ですが、「ありがとう」と素敵な笑顔を見せてもらえるお客様に出逢うと、勇気と元気が湧いてきます。良いサービスを提供し続けられるサービス業を残していくためにも、サービスを受ける側が良いお客様になることが大切です。

 私たちは、サービスの提供者であると同時に、立場が変わればサービス受ける人にもなります。そのときこそ、顔晴れというエールを、目の前でがんばるサービス提供者に送れる人になりたいものです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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「「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(146)サービス業を自分たちで盛り上げて行こう 小さなことも一生懸命」への1件のフィードバック

  1. 時にあなたは気持ちの良い接客を受けることがあります。それはあなたが接客する側に対して同じ目線で接しているからです。日本人は「お客様は神様です」などと持ち上げられ、客の方が偉いような錯覚に陥る人がよくいます。100円の缶コーヒーはモノとお金とで全くのイコールで、けして客は偉くありません。ここを日本人は勘違いしています。そもそもホスピタリティは商売の道具ではありません。道ばたで泣いている小さな女の子がいれば「どうしたの?」と声をかけませんか?これがホスピタリティの基本です。接客という観点から言えば、過剰でもなければ突き放した接客でもない、ごく自然な人間性から生まれるふるまいが根底にあるとベストです。

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