戦国・武将テーマの旅は岐阜で 関ケ原古戦場の整備進める
2023年3月15日(水) 配信
今年はNHK大河ドラマの主人公が徳川家康であることから、県内にある関ケ原古戦場(関ケ原町)への注目が高まると予想される。
現在、県と関ケ原町は、町全体のフィールドミュージアム化の推進に注力するとともに、愛知県や静岡県、滋賀県などとの観光連携にも取り組んでいる。「『戦国・武将』をテーマに旅をするなら岐阜県」というイメージの定着を目指す県の取り組みと、関ケ原町の旬の話題をまとめる。
関ケ原が一望できる笹尾山の石田三成陣跡や、桃配山の徳川家康最初陣地、家康が首実検を行った床几場など、さまざまな史跡が点在する関ケ原町。岐阜県と関ケ原町は関ケ原古戦場の整備と活用の指針となる「関ケ原古戦場グランドデザイン」に基づき、各史跡の整備やガイド人材の育成などを進めてきた。
2020年に開館した「岐阜関ケ原古戦場記念館」も同施策の一環で整備された施設で、町に点在する史跡を巡る前に関ケ原の戦いについて学べる体験型施設。館内1階では講談師の神田伯山さんの音声解説で東西両軍の布陣や動きを俯瞰できる「グラウンド・ビジョン」と、振動や風の演出とともに軍勢が激突するようすを大迫力で描く「シアター」の2種類の映像コンテンツを用意。2階展示室では全国各地の史料館や博物館などが収蔵する関ケ原の戦いに関わりのある武将の手紙や具足、文書などの複製品と、古戦場からの出土品を展示する。また、360度全面ガラス張りの5階展望室からは、現在の関ケ原の景色を合戦当時の景色と重ね合わせて眺められる。
甲冑姿でまち歩きが楽しめる関ケ原町には昨年、ユニークな施設がオープンした。
西岡氏が自身で集めた戦国期から江戸時代の甲冑を展示する「関ケ原戦国甲冑館」は、同町に本物の甲冑を展示する施設がないなか、「古戦場のまちで本物の甲冑を見てもらいたい」との思いで開館した施設。甲冑のほか、石田三成ゆかりの地から見つかった足軽陣笠、石田の名が書かれた平陣笠なども展示している館内では、本物の甲冑の着装体験も楽しめる。
西美濃地域に点在関ケ原関連史跡巡る
関ケ原の戦いは9月15日の激戦がすべてではなく、その2年ほど前、豊臣秀吉の死去から始まったとされる。
岐阜県内西美濃地域には、西軍方の島左近らと東軍側の中村一栄が激突した「杭瀬川古戦場」(大垣市)や、徳川家康が旗をかけたと伝わる松がある「白山神社(旗懸けの松)」(神戸町)、米野の戦い跡(笠松町)などが点在する。
こうした史跡も併せて巡ることで、より深く関ケ原の戦いを知ることができる。
□北村課長に聞く
岐阜県は「戦国・武将観光」を推進しています。2020年に開館した「岐阜関ケ原古戦場記念館」はその拠点となる場所で、関ケ原に何度も足を運ぶファンづくりが戦略の軸です。
記念館の整備は、東海環状自動車道の県内全線開通を控え、西濃地区への経済波及効果を得る目的で、関ケ原が交通の要衝であったことから、県と関ケ原町が有識者も交え策定した「関ケ原古戦場グランドデザイン」のメイン事業です。
同施策は関ケ原全体のフィールドミュージアム化を目指し、各陣跡などの景観整備などを現在も進めています。3月中には、徳川家康最初陣地の見晴らしをよくするために景観を整え、遠くからでも視認できるよう大きな幟旗を掲げる整備事業が完了します。記念館に関しては収蔵史料の収集を進めていきます。
こうした整備事業に加え、近隣自治体との連携強化も進めています。県としては、今年のNHKの大河ドラマの主役が徳川家康なので、愛知県と静岡県と県域を越えた広域エリアへの観光誘客、周遊観光を促すことを目的に、「大河ドラマ『どうする家康』愛知・静岡・岐阜連携事業推進協議会」を設立し、岡崎市、静岡市、浜松市の3つの大河ドラマ館と岐阜関ケ原古戦場記念館を巡る周遊キャンペーンを展開。JR名古屋駅のコンコースには、「家康ゆかりの地 インフォメーションセンター」を愛知県と共同で設置し、3月23日(木)まで観光情報を発信しています。
これに加え、岐阜関ケ原古戦場記念館ではNHK大河ドラマ「どうする家康」展・ぎふ関ケ原と、関連する甲冑展示をメインとした「家康、命運の地 関ケ原展」を同時開催し、ドラマで使われた衣装なども展示しています。また1月27日(金)からは織田信長と正室の濃姫の生涯を描く映画「レジェンド&バタフライ」が公開されていますが、岐阜市とはプロモーションなどを連携して実施しています。さらに今後は大河ドラマの進行に合わせ記念館で行っている「家康、命運の地 関ケ原展」の展示の入れ替えや、滋賀県や福井県などとも連携して観光誘客を進める予定です。
一方関ケ原町では、関ケ原を訪れる歴史ファンの中で一番人気がある石田三成の出生地と伝わる長浜市、秀吉と出会った地と伝わる大原観音寺のある米原市、居城「佐和山城」跡がある彦根市で構成する「びわ湖・近江路観光圏活性化協議会」と連携協定を結び、相互の観光振興と三成の魅力発信を進めています。
【岐阜県商工労働部観光国際局 観光資源活用課 課長 北村 和弘】