過去最大の42・5億円、宿泊経営の改善にも着手(観光関係14年度補正)
政府は1月9日、2014年度補正予算を閣議決定した。国土交通省全体の予算5451億円のうち、観光関連は「地方が直面する構造的課題等への実効ある取り組みを通じた地方の活性化」のなかの「観光の振興」に42億4600万円を計上し、過去最大の額となった。
観光関連の内訳は、「地域観光振興緊急対策事業」に5億3千万円、「訪日2千万人に向けた新規インバウンド需要創出事業」に34億1600万円、「地域経済活性化に資する放送コンテンツ等海外展開支援事業」に3億円を計上した。
「地域観光振興緊急対策事業」では、地域の観光振興をはかるため、(1)広域観光周遊ルートの形成に向けた取組体制の早期構築(2億7千万円)(2)観光分野における地域経済の「見える化」の推進(1億円)(3)「ふるさと休日」等の設定に向けた休暇取得促進に対する取組支援(1億円)(4)観光産業における人材の育成等(6千万円)――に取り組む。
「広域観光周遊ルートの形成に向けた取組体制の早期構築」は、15年度の通し予算にも盛り込まれ、前倒しの実施となる。東京周辺やゴールデンルートに集中する訪日外国人が不便を感じずに地方を周遊・滞在できるように、ニーズ調査や、地域の課題把握などの基礎調査をはじめ、協議会の設立、計画策定、受入環境の整備・滞在コンテンツの充実、情報発信などを行う。
「観光産業における人材の育成等」では、宿泊業経営者を対象に、経営に関する知識やノウハウ習得、意識啓発のための教材を作成。年度内の3月末までにそれらを活かしたセミナーやシンポジウムを地域ブロックごとに開催し、15年度以降につなげる。
「観光分野における地域経済の『見える化』の推進」では、5―10のモデル地域を選定し、公的統計個票データと大学・地域金融機関などによる民間独自データの集計・分析を実施する連携プロジェクトを支援。先進事例の調査・分析手法の普及をはかる。
「訪日2千万人に向けた新規インバウンド需要創出事業」では、年度予算による途切れを解消し、切れ目のない集中的なプロモーションを目指す。(1)桜のシーズンなどに向けた集中プロモーション(2)ビザ緩和と連動したプロモーション(3)航空路線の新規就航などと連動したプロモーション(4)中国沿岸部・内陸部の強化、重点市場追加の前倒し(5)日韓観光交流強化に向けた集中プロモーション――を行う。
「地域経済活性化に資する放送コンテンツ等海外展開支援事業」は、総務省、経済産業省、外務省と連動して、放送コンテンツの海外展開支援とプロモーションを行う。地方局による海外と共同での旅番組の制作や、日本の映像コンテンツへの字幕づけなどを支援する。