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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(147)基本を大切にしてお客様の心を掴む されて嬉しいをやり切る

2023年4月7日(金) 配信

 

 2年先まで予約一杯のレストランがあると知人から聞き、そのレストランにどんな秘密があるか知りたくなりました。一般公開されていない電話番号を偶然見つけ、連絡してみました。電話は、お客様と出逢う大切な瞬間でもあります。その対応は、人気レストランのおごりもなく、強い好感を持てるものでした。

 ただ、残念ながら予約席はありません。「キャンセルが出たら、いつでも良いので連絡をいただけないか」とお願いしましたが、要望が多く難しいということでした。

 誰も考えは同じで、無理なお願いをお詫びしましたが、諦めきれない私は、「電話対応の素晴らしさ」について手紙を書きました。すると先方から「西川さんに是非、私の料理を食べていただきたい。大変失礼ですが、空席が出たらお知らせさせてください」と連絡があったのです。

 そして、数カ月後にその連絡がありました。「お待たせいたしました。間際になりましたが、空席が出ました。いかがでしょうか」。さっそく予定を変更して、予約をしました。当日には大阪のお土産も持って行きましたが、タクシーが店に到着すると、店の外で出迎えるスタッフの姿が目に入りました。それも店主自らの出迎えです。

 その日は、食事はもちろん最幸の時間となりました。

 しかし、最大の感動はホテルに戻ってから起きたのです。携帯に店主からメッセージが届き、そこに持参したお土産を笑顔で食べている、スタッフの写真が添付されていたのです。その笑顔に思わず声を上げてしまうほど、本当に驚きました。

 その場や翌日のチェックアウトのときなど、相手からお礼を言われることはありますが、この感動のメールは、大きな勉強の機会となりました。

 お土産を贈る側が最も喜ぶのは、贈られたスタッフの人たちが喜んでくれていることを伝えることです。素晴らしい対応には、今でも感動を覚えています。

 そのレストランを訪れてから2年が経過して、2回目の利用が実現しました。そして、そのときに初めて、最初に伺ったときの感動が偶然ではなく、必然のこととして実行されていることを知ることができたのです。

 前回と同様にタクシーで到着すると、お店の外で店主が待っていました。そして、同じように、持参したお土産を手にしたスタッフの写真も、後で送られて来たのです。

 自分がしてもらって嬉しいことを、言い訳をせずにやる。やり続ける。基本に魂を込めてやり切ることです。それが料理のおいしさをより高めて、結果として予約の取れないという人気店になるのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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