若年層へ海外旅行呼び掛け GW明けに取り組み内容を発表予定(観光庁長官会見)
2023年4月24日(月) 配信
観光庁の和田浩一長官は4月21日(金)に開いた会見で、アウトバウンドの本格的な回復に向けた動きについて、「観光庁や旅行業界、航空業界の若手15人による検討会を開き、若年層の海外旅行マインド醸成への具体策を検討している」と話した。こうした検討を踏まえ、「ゴールデンウイーク明けを目途に、国民の皆様に海外旅行を呼び掛けるメッセージの発信や、具体的な取り組み内容を発表する」方針を示した。
政府は3月15日(水)、アウトバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージを発表した。各省庁・業界関係者と検討を進めているなかで、和田長官は「我われシニアよりも、近い年代の若手に検討を進めてほしい」との考えのもと、検討会発足に至ったことを明かした。
また、ツーリズムEXPOジャパン2023大阪・関西の開催に当たり、「若年層のアウトバウンド推進という観点から、学生の入場料を無料にすることや、出展ブースの内容を見直して若年層に興味を持ってもらえるような展示を考えている」とし、若者にとっても魅力的なイベントになるような検討を進めているとした。
3月31日(金)に閣議決定した新たな観光立国推進基本計画では、持続可能な観光・消費額の拡大・地方誘客促進の3つのキーワードを設定し、質の向上を強調する目標を定めている。
観光地や観光産業の再生・高付加価値化の計画的かつ継続的な支援を行い、従業員の賃上げなどによる待遇改善を通じて、人材不足対策につなげていく考え。
また、3月28日(火)には、高付加価値層の外国人誘致の強化を目指したモデル観光地を11カ所選定した。これらのモデル地域は、世界の高付加価値層のインバウンドを誘致するに相応しい滞在価値(コアバリュー)があるとして、「地域の活性化に貢献できるような取り組みを期待している」と語った。
25年に向け観光のV字回復をはかるとともに、観光が地域社会や経済に好循環を生む持続可能な観光地づくりを、全国各地で推進していく。
「これまで外国人観光客を呼び込むという観点でインバウンド促進に取り組んできたが、インバウンドの需要を効果的かつ持続的に根付かせるために視野を広げる必要がある」とし、ビジネスや学術をはじめとした広い分野で取り組む方針を示した。アクションプランについては、和田長官が室長代理を務める内閣官房観光立国推進室で、関係省庁と連携しつつ策定作業を行っているとし、「各省庁と議論をしながら、プラン策定に向けて取り組んでいく」考えだ。
□ワクチン委託料過大請求 観光庁がKNT—CTHDに指導
近畿日本ツーリストがこのほど、大阪府東大阪市、静岡県焼津市・掛川市から委託された新型コロナウイルスのワクチン接種の電話受付業務などで、3億円以上の委託料を過大請求した。これを受けて、観光庁は、親会社のKNT—CTHD(米田昭正社長)に対し、事実関係を調査して再発防止策を検討するように指導した。
和田長官は、「ワクチン接種業務自体は観光庁の所管事業ではないが、国民の皆様からいただいた税金を活用したものであり、大手旅行会社としてコンプライアンスの遵守ができていない点について、極めて遺憾である」と述べた。
今後は、同社の内部調査の結果などを踏まえ、業界団体と連携を取りながら、「同社と旅行業界全体のコンプライアンス遵守の徹底について、さらなる対応も含めて検討していく」と方針を示した。