MIMARU、みんなで泊まるホテル 多人数宿泊の訪日客に応える(藤岡英樹社長インタビュー)
2023年4月30日(日)配信
中長期滞在に適した都市型アパートメントホテル「MIMARU」を運営するコスモスホテルマネジメント(藤岡英樹社長、東京都港区)は、東京・京都・大阪を対象エリアとして計28施設を展開している。家族や仲間と“みんなで泊まる”というコンセプトから、広い室内にキッチンを設け、とくに多人数で滞在したいインバウンド需要に応えている。藤岡社長に、新規参入が続くアパートメントホテル市場と本格化する観光客の回復について話を聞いた。
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――アパートメントホテル「MIMARU」について教えてください。
アパートメントホテルという名称は元々、当社が作った造語です。「MIMARU」は、アパートホテルに属するような宿泊施設ですが、海外からみるとアパートホテルは民宿のようなもの。これとは異なるホテルであると区別できるように名乗ったのが始まりです。
インバウンド向けの多人数で中長期滞在できる「MIMARU」の客室は、定員4人以上となります。日本の都市部は定員2人の客室が多く、家族やグループ利用が多いインバウンド客は部屋を分ける必要があります。とくにお子様連れは一緒の部屋で泊まりたいと思い、みんなで一緒に泊まれるホテルをつくろうというコンセプトを基に誕生しました。
――「MIMARU」の運営を始めて、お客様の反応はどうですか。
2018年2月、東京・上野に1号店のホテル「MIMARU東京上野NORTH」がオープンしました。事業開始にホテル業界の方たちと行ったヒアリングでニーズがないという声が多く、チャンスだと思いました。そして、開業前にOTA(オンライン旅行会社)に掲載すると、当日から予約が入り始め、オープン時には6~7割の予約が入り、それから順調に7~8割とドンドン稼働が上がっていきました。
開業当初から9割がインバウンド客でした。今もお客様から、みんなで泊まりたいから利用したいという声や、例えば東京都内にある「MIMARU」で空いていないかとの問い合わせがとても多いです。非常にありがたい状況です。
――現況のインバウンドの再加熱を受けて、変化はありましたか。
通常以上に予約が入ってきていると感じます。日本政府観光局(JNTO)が発表した今年1月の訪日外客数は約150万人。このうち、「MIMARU」には外国籍のお客様が約2万7千人、割合でいうと1.8%ですから約50人に1人が泊まられています。1月は恐らくスキーシーズンの影響を受けて、とくにオーストラリアからの割合が8.3%と、約12人に1人が利用されました。
都市部に4人以上で泊まれる客室は多くなく、競合が少ないのも追い風となっています。
――運営体制に関しても他のホテルとは異なるのですか。
色々な角度から見てかなり違うと思います。1号店がオープンしてから、従業員や施設スタッフにお客様ととにかく会話し、フレンドリーにとお願いしました。この結果、1号店を開業した翌年には、トリップアドバイザーが発表した「外国人に人気のホテル2019」のベスト20に、早くも「MIMARU」から3施設も初選出されました。フレンドリーな接客がお客様から非常に評価を受けて、この翌年にはベスト10に2施設も入りました。
インバウンド客を受け入れるにあたり、課題になりやすい言語の問題に対する体制も特徴です。ホテルに在籍する施設スタッフの8割近くが外国籍で、基本的に日本語と英語での会話ができ、母国語のほかに複数の言語が話せる人もいます。言語の不安を解消することで、お客様からも気軽に話しかけてもらえる関係が築けるようになりました。施設スタッフからは、来日者が少ない国からのお客様が言葉が通じたことに涙を流して喜ばれたという報告もあったほどです。
――「MIMARU」として今後の取り組みや見通しについては。
インバウンドが戻ってきて、コロナ禍以前を上回る驚くほどの反響をいただいています。また、昨年8つのホテルを開業しましたが、人手不足で再開できていないホテルを23年度にすべて開業させる予定です。将来的には、現在の倍くらいの客室数3千室の運営に向けた取り組みを始めていきたい考えです。
これからもインバウンド向けの多人数で宿泊できるアパートメントホテル市場を、よりメジャーな市場にして注目されやすくし、市場の中でのナンバーワンであり続けたいなと思っています。
――ありがとうございました。