金沢市でホテル運営「SLACKTIDE」破産 負債は約2億5000万円(帝国データバンク調べ)
2023年5月1日(月) 配信
ホテル運営会社「SLACKTIDE」(細川博史社長、石川県金沢市)は3月31日(金)付で事業を停止して事後処理を弁護士に一任、自己破産申請の準備に入った。帝国データバンクによると、負債は約2億5000万円。
同社は2015(平成27)年2月に設立。北陸新幹線開業後に増加する観光宿泊客の需要取り込みへ、16年10月に金沢市の繁華街「竪町ストリート」においてドミトリータイプの宿泊施設「Kaname HOSTEL」を開業。並行して一般ホテルの開発も進め、17年4月には9階建てのホテル「KANAME INN TATEMACHI」を新築オープンしていた。
インバウンド需要の取り込みを積極的に進め、外国人宿泊客が全体の60―70%を占めるなど、相応の宿泊客数を確保していた。カフェバーの運営も行うほか、「町おこし事業」として町家の改装など内装工事も手掛け、20年3月期には年間収入高約2億円を確保していた。
しかし、新型コロナの影響により、主力のインバウンド需要が落ち込んだうえ、緊急事態宣言などの行動制限が発出されていたなか、宿泊施設は休業期間を設けながらの運営となり、業績は大幅に悪化していた。このため、カフェバーや、「Kaname HOSTEL」を段階的に廃止して事業規模を縮小する一方、コロナ融資を活用してしのいでいた。近時は電力をはじめ、施設維持費が膨らみ、自社でホテル運営を継続することは困難と判断。ホテル事業を売却して債務を圧縮するとともに、町おこし事業などをベースに事業再生を目指すスキームが進められていた。
こうしたなか、今年2月20日付でホテル事業を他社へ売却したものの、思うような債務の圧縮には至らず、残った債務の償還見通しが立たないことから今回の事態となった。
なお、同社が運営していたホテル「KANAME INN TATEMACHI」は、事業を買収した企業がホテル名称を変えず、4月1日(土)に運営を再開して営業を継続している。