9月23日から大百済典 理解深める史跡や城巡る (百済文化祭財団)
2023年5月15日(月) 配信
韓国の百済文化祭財団(申光燮代表理事)は4月19(水)~22日(土)、公州市と扶余郡を巡るプレスツアーを実施した。9月23日(土)~10月9日(月)に、13年ぶり2度目となるイベント「大百済典」を開催する。同地域内には日本との友好関係を持ち、660年に滅ぼされたという国「百済」の歴史遺産のほか、特産品の栗を生かした商品を販売している。
ツアーでは、より大百済展への理解を深め、楽しむことができるという史跡や城、寺などを巡った。開催に向けて準備を進めている同財団によるセミナーで詳しい大百済典の内容についても聞いた。
公州市と扶余郡は隣接する地域。ソウルや仁川空港からは、バスで約2時間、釜山からは約4時間30分の場所に位置する。
公共交通機関を利用する場合、ソウルから公州市へは韓国高速鉄道KTXを利用し、約1時間。扶余郡にはKTXとバスに乗り、約2時間30分でアクセスできる。両地域内を周遊で利用するバスは、路線網が複雑で本数も少ないため、貸切バスでの周遊がおススメだという。
韓国への入国にはコロナ禍以降、発熱状態などを専用ウェブサイトで入力することで取得できるQコード、または機内や現地の空港などで配布される健康状態質問書の提出が求められている。なお昨年10月には、到着後に義務付けられていたPCR検査を撤廃した。マスクについては、医療機関と薬局で着用を義務付けられている。
□700年の歴史百済 公州と扶余に首都
百済は紀元前18年から660年にあった国。475~538年に現在の公州市である熊津に、538~660年に現扶余郡の泗沘にそれぞれ首都が置かれていた。また、日本をはじめ、現在の中国や東南アジア、インドへ技術や文化の発信を行っていた。当時奈良時代だった日本との交流については、日本書紀に記されているという。
このため、さまざまな歴史遺跡が残されており、百済歴史遺跡として8カ所が世界遺産に指定されている。
大百済典は1955年から毎年続く百済文化祭を世界的な歴史文化祭とするため、2010年からスタートした。10年に1度開催していく予定だったが、コロナ禍を受けて延長。4月20日(木)に開催した観光セミナーで、申代表理事は「日本と韓国で多くの水際措置が撤廃され、百済の王『武寧王』の逝去から1500年を迎えたことから開催を決めた」と説明した。
テーマは「大百済、世界と通じる」。目標とする来場者数は150万人で、海外からは2万人としている。
日本人の誘客に向けては、見どころなどを紹介する日本語ウェブサイトを開設した。現地では日本語のパンフレットを配る予定だ。また、5月からは東京都などで旅行会社向けに説明会を開催していく。
同イベントはドローンやレーザー、花火を用いるオープニングイベント「大百済典成功祈願」からスタート。その後、公州市と扶余市の文化財と百済の人物などをコンテンツにした水上ショーをはじめ、当時のようすを再現した熊津城パレードを行う。百済人の遊びを体験できるブースなども設ける。
今年の大百済典について金聖哲総監督は「プロジェクションマッピングやドローンなど最新技術を用いて百済歴史を楽しめることが特徴」とアピールした。
□世界遺産8カ所 公州市の城など
8カ所の世界遺産のうち、公州に位置する公山城は、475~538年に首都だった熊津の防衛施設として機能していた城。武寧王などの王が居住。敵からの攻撃を防ぐため、傾きの大きい山の上に位置し、全長約2660㍍の城壁で囲われている。
電気が普及していなかった当時、食料を長期間保管するため、土の下に作られた冷蔵庫や、貯水施設なども残っている。守門兵の交代式も実施する。
麻谷寺には中心の殿「大宝光殿」と門を結ぶ極楽橋を渡ると死後、極楽浄土に行ける言い伝えがある。また、寺内の霊山殿にはそれぞれ顔が異なる約1千体の仏像が祀られている。韓国国内ではお祈り後目を開け、最初に目が合った像の顔が運命の人と似ているといわれ、若者に人気のスポットとなっている。
□寺など位置の扶余 百済象徴の香炉も
国立扶餘博物館には百済を工芸技術の高さ象徴する国宝「百済金銅大香炉」が展示されている。
同香炉は悪運を断つために仏殿で香を焚く際に使われた器。仙人が住む理想の世界を表現した山には、トラやイノシシ、シカ、ワニ、ゾウ、翼を持つ魚など複数の動物を細かく表現し、台座は天に昇ろうとする龍が支えていることは、当時の技術力の高さを表す。また、百済には生息していないゾウが表現されており、現在のインドの当たりを指す南蛮との交流があったことを示しているという。
世界遺産に指定されている扶余郡の定林寺は600年ごろに建てられた。百済滅亡後の高麗時代の1000年ごろに創られた8・33㍍の石仏坐像が残る。
宮南池は王宮用の池の庭園。外のようすを把握するための高さ約10㍍のブランコが再現され、遊ぶこともできる。7月には池に1万本ほどの蓮の花を浮かべるソドント蓮祭りが開催される。
□朝鮮時代再現の宿 団体個人周遊促す
今回のプレスツアーでは、「公州韓屋村」に宿泊。市内に簡易的な宿泊施設しかなく、観光客の滞在時間が短かったことからさらなる周遊を促そうと、2010年に開業した。
韓国の伝統的な宿泊を体験してもらおうと、韓国の多くで電気を用いている床暖房「オンドル」は、体の芯から温まるという薪で温める。さらに、着物の着付けや矢を投げて壺に入れる遊び、餅つきなどを体験できる。
団体旅行を受け入れるため、最大9人が泊まれる客室を備えるほか、2人定員の個人旅行用の部屋も用意している。総客室数は56室。
ツアーでは扶余ロッテリゾートにも宿泊した。ゴルフ場や流れるプールなどを併設。さらに、アディダスやラコステが入居するアウトレットが隣接している。
□公州の特産品の栗 パンやマッコリに
公州の栗は大きく、甘いことが特徴。韓国国内ではほとんどの人が知っているという。公州市内ではお土産として、焼き栗や饅頭として販売。カフェでは栗のパンやラテを提供している。
栗のマッコリは口当たりまろやかで、栗の風味に仕上げた。飛行機に持ち込むと気圧の影響を受けて味が変わってしまうため、現地での飲酒がおススメだという。