日本バス協会、運賃改定が実現へ 人材不足解決に向け前進
2023年5月19日(金) 配信
日本バス協会(会長=清水一郎・伊予鉄グループ社長)は5月18日(木)、東京都内で通常理事会を開いた。清水会長は「人が戻りつつあるが、(コロナ禍による)3年間のマイナスがあまりにも大きすぎる」と強調し、バス業界の厳しい現状を訴えた。
人手不足の問題については、運転者の賃上げが不可欠であると強調したうえで、財源の確保に向けて、かねてから国に要求していた運賃改定の認可が受けられるようになったと報告。清水会長は「およそ四半世紀も止まっていた運賃改定が実現し、この1、2年で前進できた」と力を込めた。今後も運転者不足が続くものと想定し、外国人運転者の導入実現に向けた取り組みについても進めていく方針だ。
乗合バスの赤字問題については、赤字額と補助金には大幅なギャップがあると指摘。これは補助金算出のコストが、地域ブロック平均単価とされていることが問題であるとして、国も地方自治体も補助金を算出する際、この地域ブロック平均単価により抑えられてきていたと説明した。
これを受けて、清水会長は「今夏の概算要求では、地域ブロック平均単価を廃止し、実勢単価に変更してほしいと予算要求に盛り込んでもらう方向で動いている」と述べた。
加えて、貸切バスの悪質事業者が退出する仕組みを国に創出してもらうため、各事業者に運行管理の強化を呼び掛けた。具体的にはデジタルタコグラフや、画像データの保存機能を有するアルコール検知器を義務化することが有効であると考え、来年の施行を目指して国に要望したという。
EV(電気自動車)バスについては、今年度から固定資産税に加えて100億円の国の補助金が確保された。バス業界として「2030年までにEVバス1万台に向け、自民党バス議連にさらなる補助金の増額をお願いした」(清水会長)。
このほか、キャッシュレス化の実現について、MaaS(Mobility as a Service)の大前提としても、バス業界で急いでいきたいと語った。
なお、今年9月20日(水)の「バスの日」に、日本のバス事業が開始してから120年を迎える。清水会長は「バスの日にはいつも全国各地で公共交通のイベントが行われている。今年は120年らしい明るい前向きなイベントになるようにしていきたい」と呼び掛けた。
最後に、国土交通省自動車局旅客課長の森哲也氏による「バスをめぐる最近の情勢について」の講演を行い、乗合バス事業者による運賃改定の実施状況のほか、政府の取り組みについて話した。
貸切バスの運賃が今の最高額でもとても安すぎますね、世界主要先進国ではあり得ない安さ。薄利多売方式が利かない業種だから今後も利益も出なければ給料アップにも繋がりません。
構造的問題として一車両貸切を改めて、路線バスの様に1人当たりの距離制運賃に変えるほかない。