官民4者連携、釜石ワーケ事業 事業報告・成果発表会開く(釜石市・かまいしDMC・日鉄興和・オカムラ)
2023年5月26日(金) 配信
岩手県釜石市(野田武則市長)、かまいしDMC(河東英宜代表)、日鉄興和不動産(三輪正浩社長)、オカムラ(中村雅行社長)の4者は5月25日(木)、官民連携のワーケーション事業の成果発表とシンポジウムを開いた。釜石市で行われた2年間の取り組みにおける成果と課題、今後の事業展開を説明した。また、事業に活用してもらう目的で企業版ふるさと納税が寄附されたことを受け、同市は感謝状贈呈式を行った。
4者連携で行われている「ラーニング・ワーケーションin釜石」では、企業からの研修型ワーケーションの受け入れを中心に、東日本大震災を経験し復興を遂げた釜石ならではの研修・体験プログラムなどを提案している。企業のイノベーションに通じるような「新価値創造型」の新しいワーケーションを提供する考え。
21年10月には、新たなワーケーション施設「ねまるポート」を開業した。
同施設は、首都圏のワーカーの利用を想定したもの。自然体験や食文化、地域貢献、研修などの、釜石ならではの体験や、人と団体との関わりによって、ワーカーや企業の新たなイノベーションやビジネスチャンスを創出し、地方創生に寄与することを目的としている。
実績として、24社175人がプログラムを体験した。創出宿泊数は393人泊で、実地元消費額は約900万円となった。プログラム満足度は、「大変満足」が84・8%、「満足」が14・3%と高評価を得た。
今後の事業展開として、市全体を屋根のない博物館と見立てた「釜石市オープン・フィールド・ミュージアム」構想の実現に向けた取り組みを進めている。
このほか、ねまるポートに続く第2弾のワーケーション施設の検討を行っているとし、25年の開設を予定している。
同日に行われた発表会では、第2弾のワーケーション施設の開設に向けて、日鉄興和不動産とオカムラから、企業版ふるさと納税を活用し、総額2億円が寄附された。同市はこれに対し、2者へ感謝状を贈った。
□ワーケが地方創生を実現 シンポジウムを開く
第2部では「釜石から考える、ワーケーションが実現する地方創生とビジネス機会の創出」をテーマに、シンポジウムが行われた。
基調講演では、「国のテレワーク、ワーケーション推進に係る方針」をテーマに、総務省情報流通行政局地域通信振興課課長補佐の佐藤浩行氏が登壇した。
その後、マクロとミクロの2つの視点からワーケを考えるパネルディスカッションが行われた。ファシリテーターにはオカムラの働き方コンサルティング事業部の庵原悠氏が登場した。
シンポジウム・マクロ編「関係人口は、どうしたら関係してくれるのか?まち、企業、行政の思惑をひもとく」の出席者は、野田市長、吉澤社長、佐藤課長補佐、日本商工会議所地域振興部副部長の大内博氏。
シンポジウム・ミクロ編「持続可能な地方創生に向けた、まちと企業との協働の可能性」には、河東代表、関西大学社会学部教授の松下慶太氏が出席した。