NAA売上高58%増、営業損失は318億円に縮小 田村社長「23年度通期黒字化へ」
2023年5月26日(金) 配信
成田国際空港(NAA、田村明比古社長)は5月25日(木)、2023年3月期の連結決算(22年4月1日~23年3月31日)を発表した。売上高は前年同期比58.4%増の1313億2500万円と2期連続の増収となった。これに伴い、営業損失は317億8800万円(前年同期は495億2600万円の損失)と177億3800万円改善したが、赤字は3期連続となった。
田村社長は世界的に出入国制限緩和の動きが加速したことや、国内での行動制限の緩和などを主な要因に挙げ、「23年度通期は中国からの回復も想定し、黒字化を見込んでいる」とした。
空港の安全と安定運用を大前提に運用効率化をはかるなど、継続して最大限のコスト削減に努めたが、空港拡張に関わる費用を営業外費用に計上したため、経常損失は482億9700万円(同504億1300万円の損失)、当期純損失は502億1800万円(同524億7600万円の損失)。
事業別では空港運営事業の売上高が、同45.5%増の602億2200万円、営業損失は500億1700万円(同551億4800万円の損失)。免税店や直営の飲食店などのリテール事業は、売上高が318.3%増の377億2700万円、営業利益は44億7400万円(同92億3000万円の損失)と3期ぶりに黒字となった。旅客数の増加や円安が主な要因。駐車場などの施設貸付事業の売上高は同2.9%増の303億9800万円。営業利益は同7.2%減の130億3800万円。エネルギー価格の高騰が影響した。
23年度通期では、前年度からの回復基調が続き、中国から日本への海外旅行制限措置の緩和で需要増加を想定。総旅客数は同72.8%増の3546万人。国際線は105.3%増の2783万人。国内線は同9.6%増の763万人と過去最高を見越している。総発着回数は国際線が同35.0増の19万回。国内線は同3.9%減の5万回とした。
売上高は同52.7%増の2006億円、営業利益53億円、経常利益19億円、当期純利益6億円を見込む。
事業別では、空港運営事業の売上高が同56.6%増の94億3000万円。営業損失は同284億円改善の216億円。リテール事業は、売上高が同94.8%増の735億円。営業利益が273.2%増の167億円。施設貸付事業の売上高は、同2.3%減の29億4000万円。営業利益は同27・9%減の94億円を予想している。水際対策に関わる貸付施設の面積が減少を想定した。
田村社長は「国内線旅客数が最高となった19年度は過渡期だった。行動制限が緩和されているので、さらに伸びるだろう」と話した。
また、インバウンドの本格的な回復は日本で個人の外国人旅行客の入国が解禁された10月以降となったことを振り返り、「ターミナル内の多く店舗は再開し、賑わいを取り戻しつつある」と話した。