日本旅館協会、9月に秋保で金融懇談会 ふるさと納税決済の普及へ
2023年6月9日(金) 配信
日本旅館協会(大西雅之会長、2220会員)は6月8日(木)、東京都内で2023年度通常総会を開いた。今年度は、1月に実施したアンケートで、回答数の約40%が債務超過となっていることや、今年度から返済が始まる過大な有利子負債を抱えていることから、9月7(木)~8日(金)に金融問題への議論を深める「宿泊業界における観光と金融に関する全国懇談会」を実施する。自社ホームページで予約の決済をふるさと納税で行う「ふるさtoらべる」の普及を目指す。
大西会長は「コロナ禍のダーメジが非常に大きく、短期間では取り戻せない。本当に厳しいのはこれからだ。息の長い支援が欠かせない」と語った。
これを踏まえ、9月7(木)~8日(金)に宮城県・秋保温泉の伝承千年の宿 佐勘で観光と金融に関する全国懇談会を実施する。当日は菅義偉前首相をはじめ、観光庁長官や金融庁長官、中小企業庁長官らが出席する予定だ。業界の金融問題への対応と観光振興の在り方について議論を深めるため、基調講演やパネルディスカッションなどを行う。
大西会長は「(行政から)この場でしっかりした回答をもらいたい。このため、今年の陳情活動は懇談会に向けて力を入れていく」と話し、より多くの現状を伝えるため、アンケートへの回答を会員に求めた。
今年度の取り組みとして、6月8日(木)から、丸紅と提携し、予約の決済をふるさと納税で行う「ふるさtoらべる」を本格稼働した。「丸紅から日本旅館協会に歩合の収益が入る。宿が支払うカード決済手数料は無料となる」と説明した。200会員が毎日、同制度を利用して、1万円の宿泊客を1組受け入れた場合、年間で約5千万円を受け取ることができるという。
大西会長は「これが実現した際には、会費が無料になることも考えられる。ぜひ各会員の宿に導入してほしい」と求めた。
同日には丸紅企業投資部の奥原総一郎部長代理が「ふるさtoらべる」の説明を行った。
ふるさと納税は年収に応じた控除上限額まで税控除と返礼品を受けることができる制度。消費者が5万円寄付した場合、4万8千円の税控除を受け、返礼品として1万5000円分の電子クーポンを受け取ることができる。このため2000円を支払うことで、1万5000円分のクーポンが使用可能となる。
宿泊客はスマートフォンなどを用いてクレジットカードで寄付し、電子クーポンを受け取る。宿泊代精算時に同クーポンを提示することで、宿泊料金の支払いが完了する。
同制度のクレジットカード決済手数料は無料。旅館・ホテルには寄付額の2・5%の委託料が支払われる。また、接客などの本業を圧迫させないため、寄付方法など説明する専用サイトを開設している。
奥原氏は「会員登録なしで、約3分で申し込むことができる。お客様には、専用ページから年間控除上限額を確認できるようにした」と導入を促した。
その後懇親会が開かれ、大西会長は6月7日に成立した改正旅館業法で、感染防止のための宿泊拒否に関する箇所が協力に変わったが、1つの形になったことに言及し、来賓として出席した国会議員や、多くの関係者に謝辞を述べた。