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23年度版観光白書 「稼ぐ力」が喫緊の課題

2023年6月16日
編集部:馬場遥

2023年6月16日(金) 配信 

政府は6月13日(火)、2023年版の観光白書を閣議決定した

 政府は6月13日(火)、2023年版の観光白書を閣議決定した。観光立国推進基本法に基づき、毎年国会に提出している。23年版は3部構成。国内外の観光の動向を分析し、観光需要は新型コロナ禍から回復傾向にあるとした。一方で、観光業の生産性の低さや人材不足といった構造的課題が顕在化していると指摘。観光産業の「稼ぐ力」を強化することが喫緊の課題として、提言を示した。

 

観光GDPから分析 稼げる産業への変革

 第1部第3章では、観光分野における「稼ぐ力」の現状と課題について、観光付加価値額(観光GDP)に着目。国内で生産した観光サービスのうち付加価値額をみたとき、日本の観光GDP額は19年で11兆2000億円となり、新型コロナ感染拡大前まで着実に増加してきたが、経済全体に占める比率は2・0%に留まり、先進7カ国(G7)平均の4・0%と大きな差が付いた。

 従事者1人当たりの付加価値額(TSAベース)は、日本は全産業の806万円に対して、観光産業他は491万円、宿泊業は534万円と相対的に低い値となった。

 宿泊業では、米国が976万円と顕著に高く、次いで、スペインが709万円、イタリアが690万円と高水準だった。

 こうした国際比較から、「日本は観光の付加価値額や経済全体に占める割合が低位。付加価値を高め、『稼げる産業』への変革に向け、売上高の増加が課題だ」との認識を示した。

 

25年に目指す姿 持続可能な観光へ

 今後の観光では、質を重視した観光地の稼ぐ力を実現し、地域社会・経済の持続可能性が重要であるとした。

 国内外の旅行者にとっても、地域に根付いた自然や文化、地場産業などの「暮らし」に関わるコンテンツが、魅力的な体験として価値が高いものだとされている。

 政府は、住民・異業種が参画して、地域のストーリーを磨き上げ、付加価値の高い体験型観光商品を造成することで、滞在魅力を高め、地域への観光消費を住民の雇用と所得、地域の税収に還元し循環していく「持続可能な観光地域づくり」が期待されるとした。

 23年度は、「持続可能な観光地域づくり戦略」「インバウンド回復戦略」「国内交流拡大戦略」の3つの柱で施策を講じ、25年にはコロナ前より進んだカタチで観光が復活していることや、日本が世界的潮流を捉えた観光地として脚光を浴び、「持続可能な観光」の先進地として注目されることを目指す。

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