5月に3千人訪中団、観光3団体連携で交流促進
日本旅行業協会(JATA、田川博己会長)と全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長)、日本観光振興協会(山口範雄会長)の観光業界3団体はこのほど、日中の観光交流拡大への気運を盛り上げるため、「日中観光文化交流団実行委員会」を組織し、5月下旬に3千人規模の訪中団を送ることを発表した。
同委員会の委員長はJATAの田川会長が務めるが、交流団の団長は現時点で未定。田川委員長によると、文化人を候補に検討しているという。日程は22―24日を予定。23日開催のメイン行事「日中観光交流の夕べ」(仮称)には日本側から訪中団3千人が参加し、両国要人による歓迎あいさつやエキシビションなどを行う。前日の22日には日本観光関係者と中国側旅行会社による商談会、23、24日には訪日トラベルフェアも予定する。詳細については3月20日に北京で開くJATAの役員会で詰めていくという。
後援は観光庁、日本政府観光局(JNTO)、在中華人民共和国日本国大使館、日本経済団体連合会、中国国家旅遊局、中華人民共和国駐日本国大使館。
2月25日にはANTAの二階会長、JATAの田川会長、日本観光振興協会の山口会長、観光庁の久保成人長官、JNTOの松山良一理事長、中国側から中国人民共和国駐日本国大使館の趙偉参事官、中国国家旅遊局日本代表処の張西龍主席代表の7人による共同記者会見を開いた。ANTAの二階会長は「2014年に中国からの訪日は急拡大したが、日本からの訪中は近年少しずつ減少しており、改善の糸口を探っていた。今回の訪中で意見交換をして、観光交流を拡大させたい」と訪中の意義を語った。
日本から中国へのアウトバウンドは04年から300万人の大台に乗り、07年の397万人をピークに年々減少。13年には300万人を割り、14年は272万人となった。田川委員長は近年の減少について、「政治問題を抜きに」と前置きし「周遊型の中国観光はある程度一巡したのかもしれない。中国には多くの世界遺産もあり、まだまだ知らない土地が多くある。これからは都市観光や目的型観光などで中国を再発見していくことが求められる」と分析し、「民間から観光交流復活の気運を作りたい」と力を込めた。訪中に合わせたツアーでは23日の「日中観光交流の夕べ」以外は、前後幅を持たせた自由なコース設定を検討し、「北京以外も視察できるようにする」とした。3月20日の役員会訪中では中国の地方の観光関係者との打ち合わせも見通す。
日本観光振興協会の山口会長は地方の観光交流に着目し、「好調なインバウンドを受け、地方間の交流を促進し、日本各地に中国人を誘致して、地方創生・地方活性化につなげたい」と話した。