訪日客とスマホ戦略、ITセミナー開く(日本旅館協会)
2月17―20日に東京ビッグサイトで開かれた宿泊・レジャー・外食(中食)・給食産業向け合同専門展示会「HCJ2015」のなかで、日本旅館協会(針谷了会長)は18日、ITセミナー「インバウンド集客の要点とスマホ戦略」を開き、会員81人が集まった。
日本旅館協会IT戦略委員会の小野誠委員長(長野県・よろづや旅館)は、14年11月に協会会員に取ったインバウンドとITに関するアンケートについて紹介。外国人客を受け入れているのは会員施設の95%に上るが、英語ホームページを開設しているのは39%、中国語や韓国語になると10%に満たない。小野委員長は「ITへの取り組みが我われの業界はまだまだ遅れている」と指摘した。また、スマートフォン(スマホ)については「予約全体の2割がスマホからといわれる時代になり、スマホ用のホームページの充実が欠かせなくなっている」と話し、同セミナーの意義を強調した。
講演では、インバウンドにっぽん/実践!インバウンドの小野秀一郎代表が「急成長のネットFIT市場とインバウンド集客の要点」について話し、アビリティコンサルタントの水野真寿常務が「予約率アップ!! スマートフォン専用ページのポイント」と題して会員へレクチャーした。
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自社の外国語HP重要、無料Wi―Fiの表示強調を、小野秀一郎氏
全国の旅館・ホテルのインバウンドコンサルティングを行うインバウンドにっぽん/実践!インバウンドの小野秀一郎代表は2月18日、日本旅館協会主催のITセミナーのなかで、「急成長のネットFIT市場とインバウンド集客の要点」と題する講演を行った。参加した会員宿泊施設に対し、自社の外国語サイトの重要性を説き、トリップアドバイザーやSNSなどの活用についてもアドバイスした。
小野氏はインバウンド集客のツールとして(1)自社の外国語サイト(2)スマートフォン(3)海外OTA(オンライン・トラベル・エージェント)(4)トリップアドバイザー(5)フェイスブックなどのSNS――をあげ、「バランスが重要」と話す。海外OTAでの評価やトリップアドバイザーでのランキングには着目するが、自社の外国語サイトの更新頻度や情報量などが不十分になりがちなことを指摘。海外の旅行者や旅行会社、メディアなどは海外OTAを見てから、自社サイトを検索するケースが多いため、「自社の外国語サイトの充実が重要」という。
トリップアドバイザーの露出度を上げて予約率向上を狙うビジネスリスティングについては、特典掲載でアクセスは増えるが購入してランクが上がることはなく、「15位以内に上がってから使うのが理想。逆に1、2位なら購入する必要もない。まずは無料ツールを使いこなすことが大事」と助言した。無料で口コミ数を増やす方法として(1)フェイスブックページの開設(2)顧客とSNSでつながること(3)トリップアドバイザーのレビューエクスプレスの利用(4)外国人客への写メール送信――などをアドバイス。フェイスブックは英語や中国語など外国語併記でも構わない。レビューエクスプレスは、直近で利用した顧客に対し、トリップアドバイザーでの口コミ投稿を簡単に勧められる無料のマーケティングツールだ。
自社の外国語サイトでの集客に関しては、(1)Wⅰ―Fⅰのわかりやすい表示(2)地元の観光協会や組合サイトへのリンク依頼(3)ハラルやベジタリアン対応可否の明記(4)土産物売り場の免税店申請とそのPR――などをあげる。「リンク数は少しでも増やした方がよく、ハラルやベジタリアン対応はオペレーションの効率化にもつながるので、できること・できないことをはっきりと明記することが大切」。また、外国人向けの消費税免税制度の改正により、消耗品も免税対象になったことを受け、土産物売り場を免税店として申請することを勧め、「免税店として安く買い物できることをアピールするのは効率的」とアドバイスした。