コンプラ遵守徹底と海旅回復に注力 JATA2023年度総会
2023年6月23日(金) 配信
日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長、1113会員)は6月22日(木)、東京都内で2023年度総会を開いた。志村格理事長が退任し、新たに蝦名邦晴氏(元日本通運常務理事)が就任した。自治体からの委託業務などにおける不正問題が発生したことを受け、さらにコンプライアンス遵守を徹底する方針を示した。また、回復が遅れる海外旅行に対しては、「JATAの総力を挙げて海旅に取り組む」と意気込んだ。
髙橋会長は冒頭、ワクチン接種業務や全国旅行支援の受託など、国や自治体からの受託事業での不正事案について、「JATAの信用を著しく失墜するようなコンプライアンス問題が複数発生した」と報告。
観光庁からJATAに対し、総点検の指示があって調査を行ったところ、「会員の1割程度の会社が受託事業を取り扱い、現在のところさらなる不正事案の報告は寄せられていない」と話した。
髙橋会長は、この数年でコンプライアンス問題が続いていることから、「誓約書の提出やコンプライアンス研修、セミナーの実施だけでは不十分だった。今後、観光庁の指導を受けながらさらに踏み込んだ対応策を検討し、実行していく」方針を示した。「コンプライアンスはすべてに優先すること。今一度、業界全体で認識を改め、信頼回復とコンプライアンスレベルの向上に取り組む必要がある」と力を込めた。
来賓で登壇した観光庁の池光崇審議官は、同様にコンプライアンス問題について触れ、「いま一度業界として、あるいは事業者として、それぞれの法令遵守状況としっかり意識が根付いているか、継続できているかを確認してほしい」と呼び掛けた。
「観光回復への足取りを確かなものにして、一刻早くコロナ前の水準への回復を」と話した。
23年度事業計画では、海外旅行復活へ向けて、大規模かつ継続的な需要喚起策の実施に注力していく。これに関連し、業界が直面する課題を整理する目的で会員各社にアンケート調査を実施した。
寄せられた課題は、①海外旅行取扱拡大に向けた対応②既存ビジネスの開拓やDXを通じた旅行業再生③資金繰り対策や補助金などの支援④団体グループ旅行の機運醸成⑤コンプライアンス問題に関する業界の信用回復──のおおむね5つ。
髙橋会長は、とくに海外旅行について言及し、「海外旅行の復活なくして、旅行業界の復活なし。総力を挙げて海外旅行の復活に取り組み、国内・訪日旅行を加えたツーリズム復活を早急に実現していきたい」と語った。
また、10月26(木)~29日(日)ツーリズムEXPOジャパン大阪・関西において、2年後に迫った大阪・関西万博へのムーブメントや、国際交流への機運を高める。来場者の目標は15万人とした。
DX化に向けての取り組みでは、「観光業共通プラットフォーム」を年内に稼働させることを目標とする。この取り組みでは、宿泊・観光施設などの観光事業者が参加し、国内・訪日旅行における基本情報の一元化と、システムによる災害時情報の共有化をはかる。将来的には、さらに高いステージでの協調や共創につながることを目指す。
役員改選では、志村格氏が理事長を退任し、新たに蝦名邦晴氏が就任した。平井登氏(ジャルパック社長)が理事に選任され、杉浦雅也氏(ジェイアール東海ツアーズ社長)と矢田素史氏(エイチ・アイ・エス社長)が運営役員に就任した。このほか、2人がそれぞれ役職を変更した。