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“1位は日本への評価”、世界都市1位で記念シンポ(京都市)

門川大作市長
門川大作市長

 京都府京都市(門川大作市長)は、米国の旅行雑誌「TRAVEL+LEISURE」の読者投票ランキング「ワールドベストシティ2014」で世界1位になったことを記念し、1月31日、東京都内で記念シンポジウムを開いた。このなかで、門川市長は1位になったことについて「世界の日本への評価だと受け止めている」と語った。

 基調講演を行った門川市長は、日本のインバウンド政策における京都の重要性、責務を認識したうえで、京都のキャッチコピー「そうだ京都へ行こう」を「そうだ日本へ行こう」に変えていきたいと意気込んだ。優れた文化の集積や都市としての多面性、高いおもてなし力などを武器に世界トップクラスの観光都市となる潜在力を有していることを示し、「日本に京都があってよかった」から「世界に京都があってよかった」と思ってもらうことを目指しているとした。そのため、2014年度から20年までの中長期計画「京都観光振興計画2020」を定め、25施策191の取り組みを推進している。

 一方、「おもてなしの最前線に立つ現場の人の非正規率が75%の現状では本物のおもてなしは難しい」と課題に言及。「観光産業が労働生産性の高い産業にならなければ、我が国が抱える人口減少などの問題に歯止めがかからないのではないか」と危惧した。

パネルディスカッションのようす
パネルディスカッションのようす

 門川市長も登壇したパネルディスカッション「訪日外国人旅行者2千万人時代の日本のおもてなし」は、首都大学東京教授で観光庁参与の本保芳明氏がコーディネーターを務め、パネリストに星野リゾート代表の星野佳路氏と婦人画報編集長の出口由美氏を迎えた。

 本保氏は一昨年来、「おもてなし」の言葉が先行するなか、「世界のサービスとどこが違うのか、本当に日本のサービスレベルは高いのか。自己満足ではないかと疑問を持って立ち向かっている」と問題提起した。これを受け、門川市長は「京都は市民ぐるみでおもてなしをする」とし、例として20年までに、小中学生が華道と茶道、着物などの文化を英語で説明できるようにする取り組みなどを説明した。また、「おもてなしは“表裏なし”。お客様も従業員も大切にすること」と語った。

 他方、「伝統を守りながら、現代に合うように見えないところを変えることもある。分からない人には分からなくてもいい」や「ルールに従ってもらうことも必要で『一見さんお断り』もおもてなし」と京都流のもてなしも紹介した。

 星野氏は「おもてなしの定義は分かっていない」と前置きしたうえで、宿泊事業者の立場から持論を展開。自身の経験から、海外で日本のもてなしの優れた点を「親切」「気遣い」と挙げると「それなら外資系ホテルの方が上だ」と世界の論争に負けるため「日本のおもてなしはニーズに応えるマーケティングを捨てること」という結論を出したという。

 千利休が朝顔を眺めながらの茶会に豊臣秀吉を誘い、わざと朝顔を全部刈って一輪のみ茶室に活けて迎えたという逸話「朝顔の茶会」を原点とし、「伝えたいメッセージを持つことがおもてなし。例えば我われの宿にはテレビは置かない。それを嫌がる人もいるが、好きな人に訴えていくしか日本のおもてなしが世界で通用する道はない」と言及。世界のホテルマーケティングは行きつくところまでいき、あらゆるニーズに応えられるシステムを構築したためにどのホテルも特色がなく均質化するなか、「日本の旅館、ホテルは自分たちのこだわりを持ち、勇気を持って伝えていかなければならない。マーケティングを捨てることは外資には真似できない」と述べた。

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