外国人雇用で売上増、訪日外国人の行動分析を(HRソリューションズ)
人材関連サービス開発や面接官のトレーニングなど採用支援事業を展開するHRソリューションズ(武井繋社長)は2月17日、セミナー「多言語対応、元年。訪日外国人で売り上げを2倍にする方法」を開き、訪日外国人の行動分析や外国人を雇用してインバウンドの売上実績を伸ばした事例などを発表した。
講師に多言語対応のウェブ制作を得意とするシトラスジャパンから渡辺紀章執行役員、楽天のショップ・オブ・ザ・イヤー2014(SOY)で海外販売大賞を受賞した総合土産店「スカイショップ小笠原」を経営する山ト小笠原商店の小笠原航社長、HRソリューションズの武井社長が登壇した。
第1部では渡辺氏が日本人と訪日外国人の考え方と行動について紹介。「日本人は海外旅行で工場見学に行くことはあまりないが外国人は日本のテクノロジーに関心が高く、自動車工場見学などに行く」「桜は海外に意外と多く、外国人が日本の桜を見るのは昼間から大人が酔っぱらっている牧歌的な雰囲気を楽しみ、自分も混ざりたいから」「むしろ花よりも、真っ赤に染まる紅葉が珍しく人気」など事例を挙げ、訪日外国人の本当に求めるものを間違えないように、まずは相手を知ることの必要性を説いた。
また、国の違いで観光対象や購買商品が違うことも強調した。長い歴史がない国の観光客は歴史や景観に興味を持つ傾向にあるが、長い歴史を持ち、母国との違いを感じない国の観光客にとっては歴史や景観が観光対象にはならないという事例を挙げ、訪日外国人をひとくくりに「外国人ターゲット」とまとめることの危険性を強調した。
第2部では小笠原氏がインバウンド消費をとらえて成長した成功事例を発表。同氏が事業を展開する北海道では免税店が急増しており「札幌でも旭川でもこぞって外国人観光客に向かっており、免税の許可を取る事業者が増えた」と語った。また、「東京で北海道の商品を販売した際も、有名店の生チョコをまとめ買いする人の大半は日本語が通じない」と述べた。昨年の免税制度の変更以降、訪日客の購入者が一段と増えたという。
新千歳空港の国際線に構える店舗では和雑貨を中心に販売しており、最も購入されているのは南部鉄器。50万円の鉄瓶が訪日観光客に売れることもあるほどの人気だが、「外国人スタッフが鉄器の歴史や価値を細かく説明できるから購入者も安心して購入していく」と外国人を採用するメリットを語った。「はじめは外国人スタッフ採用で文化による考え方の違いなど不安もあったが、コミュニケーションをとってみると文化が原因の齟齬は感じなかった」と述べた。
第3部は武井社長が、増加する訪日外国人客の対応に向け、外国人スタッフ活用の可能性を語った。
外国人の採用については「ホスピタリティやコミュニケーション能力など『絶対に必要なスキル』と後天的に身に着く語学力や実務経験など『あれば良いスキル』を整理することで求める資質がみえてくる」と分析。そのうえで「コミュニケーションがとれるか、人材が定着するかなどの相談が多いが、1億2千万人いる日本人ですら性格は千差万別。何億人と人口を抱える外国に至ってはさらにいろいろなタイプの人がいる」と述べ、日本におけるサービス、おもてなしの適正がわかる性格診断テストの自社開発などの取り組みを紹介した。
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事業創造部プロデューサー 井上 隆二氏に聞く
訪日外国人の集客に注目した経緯やHRソリューションズの取り組み施策について、同社事業創造部プロデューサーの井上隆二氏に聞いた。
【丁田 徹也】
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――これまで開催してきた人材支援関連のセミナーではなく、訪日外国人旅行客の集客をテーマに据えたのはなぜでしょうか。
現在、訪日観光客の受け入れを希望する企業や外国人従業員を検討している採用担当者が増えており、また採用方法やコミュニケーションについての相談が増えていることから、訪日外国人観光客に関連するセミナーを開いた。
――外国人従業員向けにおもてなし力を測るシステムを開発しているようですが、詳細を教えてください。
クイズゲーム形式で、出題内容から自分に一番合う選択肢を回答するSPI試験のような適性検査を開発中だ。通常の適性検査と違い、接客・サービスシーンに特化した質問を用意している。
――具体的におもてなしをどのように測るのでしょうか。
おもてなしには「これをやれば間違いない」という判断基準は存在しないので、直接おもてなしを測ることは難しい。そこでおもてなしが試される接客・サービス関連問題で性格を診断する。「柔軟さ」「フレンドリー」など複数の尺度で診断し、適性を段階別に分けることで、おもてなし力が測れると考えている。