「コロナ禍からの回復と旅行需要喚起策推進」 任期2年を振り返る(和田浩一観光庁長官)
2023年7月3日(月) 配信
観光庁の和田浩一長官は6月28日(木)、任期最後となる長官会見を開いた。7月4日(火)付で国土交通省を辞職する和田長官は、「コロナの真っ最中に着任した。前半はコロナの感染拡大と社会経済活動の両立をはかりながら、県民割を拡大させた。後半の1年は水際の緩和に併せて全国旅行支援を実施するとともに、持続可能なカタチで観光立国復活に向けた取り組みを推進した」と2年間の任期を振り返った。
観光庁では、23年3月に策定した観光立国推進基本計画で、消費額拡大・地方誘客促進・持続可能な観光の3つのキーワードと、国内交流拡大・インバウンド回復・高付加価値で持続可能な観光地域づくりの3つの戦略を盛り込み、2025年までの3年間で取り組むべき方向性を定めた。
和田長官は、「用意した制度を活用していただき、新体制の下でも全国各地に成功事例やモデル地域をなるべく多く作り上げてもらえれば」と期待を込めた。
また、6月21日(水)にはインドのゴアでG20観光大臣会合が開かれ、日本からは和田長官が出席した。持続可能な観光地域づくりの重要性などについて発信し、環境・社会・経済などの包括的な観点から、関係者が一体となって観光施策に取り組む必要性について理解を得た。
□全国旅行支援が順次終了 平日にもう1泊推進へ
観光庁は6月28日(木)時点で、各都道府県の全国旅行支援実施状況について、30道県が7月以降も事業を続ける予定だと発表した。同事業は、国から配分された予算がなくなり次第、順次終了する。和田長官は、「新たに全国旅行支援の予算を追加することは考えていない。観光産業の、これまで構造的な課題といわれていた平日の需要喚起をはかることに注力する」考えだ。
また、個人旅行を対象にした25都府県は既に事業を終了し、19道県は7月中に終了する予定。団体旅行の支援については、31道県は7月にも継続し、8月以降も続ける見通しの県もある。
同庁と日本観光振興協会は22年10月から、「平日にもう1泊」キャンペーンを通じた国内観光需要の喚起・平準化の取り組みを推進してきた。
このほど、CPの特設サイトのさらなる充実をはかり、インスタグラムを通じた地域や事業者の平日旅行PRの一元的な情報発信を行う。
この一環として、観光地の「平日旅行」PR画像・動画を広く募集している。募集するPR画像は、①インスタグラムを見た人が訪れたくなるような、地域の景色や宿泊施設の画像②CPの特典内容が分かる画像など──の2種類。専用の応募フォームから受け付けている。締め切りは7月10日(月)まで。
訪日旅行需要については、コロナ前の19年5月に比べ、23年5月は69%まで回復し、中国を除くと88%まで回復してきている状況にある。一方、観光庁がインバウンド客の訪問地域を調べたところ、三大都市圏の回復率が92%なのに比べ、それ以外の地域では58%の回復に留まった。
和田長官は、「観光再始動事業や高付加価値なインバウンド観光地づくり事業では地方を中心に選ばせてもらった。JNTOのプロモーションも地方を重点的にやってもらうカタチでPRしている。旅行需要平準化の面からも、さまざまなツールを通じて、地方誘客に注力する」と話した。