津田令子の「味のある街」「亀まんじゅう」――かめや本店(静岡県御前崎市)
2023年7月9日(日) 配信
東海道新幹線がすべるように掛川駅に到着したのは、午後1時を少し回っていた。掛川駅から御前崎市内へはバイパスを使えば45分ぐらいで着くことができる。いくつものお茶畑を過ぎるとやがて海が見えて来る。「御前崎に来た」という実感がわいてくる瞬間だ。南国ムード漂うヤシの木通りは、以前と何も変わらない。海沿いのカーブを走り白い波を眺め白亜の灯台(御前埼灯台)に辿り着く。
20年ほど前、NHK総合テレビ「こんにちはいっと6けん」や、NHKラジオ第一の「ローカル線の旅」の取材をはじめ、講演会にも呼んでいただいたのがきっかけでこの町を深く知ることになった。多い年は年間10回近く訪ねていただろうか。
今回のお目当ては、1948(昭和23)年に創業した「かめや」の「亀まんじゅう」だ。それを買いに来たというわけだ。当時「かめやパン店」というパン屋さんだったというこの店の名物。49年の正月に初代店主が、御前崎市は赤ウミガメが産卵のために訪れる土地柄もあり、「おめでたい」という理由で「亀の形をしたおまんじゅう」を作り、正月の飾りとしてお店に飾っておいたのが始まりだという。その後「亀のまんじゅう」を求める人で「かめやパン店」は連日行列ができるほどの賑わいとなり、それがきっかけとなり本格的に「亀まんじゅう」を作り始めたというのだ。
亀まんじゅうはミニ、小、中、大、特大のサイズがあり、特別注文も受けてくれる。ミニサイズは機械での製造だが、他のサイズは一つずつ丁寧に作る拘りようだ。ベテラン職人が頭、手足、胴体を別々に作り、 頭にも餡を詰め、型押しで甲羅の模様をつけていく。工芸品を作るかのように手際よく製作している。原材料になっているこしあんと粒あんは、北海道十勝産の小豆を100%使用した“自家製餡”で、美味しさと愛情たっぷりだ。さらに縁起の良い「鶴まんじゅう」。お祝い事に用いられる亀まんじゅうとセットの「鶴亀まんじゅう(受注生産)もお薦めだ。結婚式・出産祝い・七五三・上棟式・快気祝いなどさまざまなお祝い事に最適だ。
(トラベルキャスター)
津田 令子 氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。
我が町、御前崎市に来て頂きまして、ありがとうございます。私も亀まんじゅうは、よく購入して、知り合いに差し上げております。