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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(150)期待にないサプライズに感動 幸せな思い出が増幅

2023年7月8日(土) 配信

 

 コース料理の途中で、「お腹はいっぱいになられましたか」と声を掛けられ、「既に満腹に近い状態です」と応えると、「次がメインで、あと2品ほどですが、少し量を調整しましょうか」と提案され、ポーションを落としてもらうようにしました。

 最後には、かまどで炊いた、美味しそうな炊き込みご飯でした。若いころであれば、お替りをお願いするのですが、今は1杯で十分でした。残念な気持ちと悔しさもありましたが、もうお腹は破裂しそうなほど、いっぱいになっていました。

 その後、会計をしてお店を出るときです。店主の料理人が見送りに出てこられて、私に紙袋を手渡されたのです。「明日の朝食によろしければどうぞ」と、先ほどの炊き込みご飯をおむすびにして、手土産を用意していただいたのです。

 今まで、記憶に残るレストランは、どの店も食事は美味しく、楽しい時間を過ごせましたが、共通していたのは、持ち帰り用のデザート土産を用意していただけたことです。

 食事の最後に、美味しいデザートはもちろんありますが、それとは別に持ち帰り用にと焼き菓子などが用意されていたのです。まったく予想しなかったので、本当にうれしいサプライズとなりました。

 あるとき、ホテルの朝食付き宿泊プランを、1カ月程前に予約しました。ただ、当日の予定が変わり、チェックアウトを早くして移動することになりました。

 翌朝のチェックアウト時に、朝食券が入ったままのルームカードケースをフロントに返しました。ホテルスタッフは、朝食券を手にして「お食事はこれからでしょうか」と声を掛けてくれたのです。

 当たり前ですが、ルームキーを抜き取り機械にかざして、追加の精算がなければチェックアウト完了、という流れがこれまで多くの体験でした。私が「これから新幹線で移動しなければならないので」と応えると、「そうですか。それでは少しだけお待ちいただけますか」と一旦フロント奥のオフィスに移動して、すぐに紙袋を持って戻って来ました。

 「お荷物になるかもしれませんが、よろしければお持ちください」と、パンとフルーツと飲み物といった簡単な朝食バスケットを持って来てくれたのです。夜遅くにホテルにチェックインして、朝早い出発に変更したため、朝食を買っていなかったので、本当にうれしいお弁当となりました。

 人は期待していなかったサービスに出逢うと、とても感動します。さらに、ホテルやお店を出る最後の瞬間のサービスは、楽しかった思い出を増幅させる効果があるとともに、強く心に残るものとなるのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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