「ONSEN・ガストロノミーツーリズムコラム」 豊かな生物多様性の森(沖縄県・やんばる国立公園)
2023年7月7日(金)配信
やんばる国立公園は、沖縄島北部に位置し、2016年に国立公園に指定されました。
「やんばる(山原)」とは、「山々が連なり森の広がる地域」を意味する言葉で、国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がっています。
琉球列島の形成過程を反映する島々の地史を背景に、ヤンバルクイナなど多種多様な固有種が生息・生育し、石灰岩の海食崖やマングローブ林など多様な自然環境を有しています。また、このような自然環境での暮らしで育まれてきた伝統が息づく人文景観が特徴です。
やんばる地域は日本全体の約0・1%にも満たない面積ですが、日本全体で確認されている生物の種数に対し、鳥類では約半分、在来のカエルでは約25%の種が確認されるなど、実に多様な生物が住んでいます。そんな生物多様性が評価され、21年には世界自然遺産にも登録されました。
やんばるでは1年を通して緑を楽しむことができますが、とくに私がお薦めしたい季節は春。3―4月、春の訪れとともに若葉が芽吹き、新緑の鮮やかな黄緑色につつまれます。太陽に照らされキラキラと光る若葉からは生き生きとしたエネルギーが感じられ、深呼吸をすると森の中にいなくてもほんのり緑の香りが感じられるほどです。
やんばるにお越しの際は、比地大滝や森林公園をトレッキングし、森の豊かさを体感してください。鳥のさえずりや特有の植物、時にはユニークな生物も顔をのぞかせてくれますよ。
【環境省 沖縄奄美自然環境事務所 やんばる自然保護官事務所 自然保護官 椎野 風香】