佐賀県と早稲田大が連携、学生の目線で課題発掘
「駐車場不足」「旅館の役割大きい」
佐賀県は早稲田大学と連携して、羽田や成田空港と結ぶ佐賀有明空港を活用した旅行需要の喚起と認知度アップを目指し、同大商学学術院商学研究科ビジネススクールの戸崎肇教授の講義を受講している学生を対象に、現地調査を実施した。大学生(若者)の視点から問題点の発掘と、新たなアイデアや提案をしてもらうことが狙いで、昨年11月に続いて今年の2月に、学生たちはLCCの春秋航空日本を利用して2泊3日の日程で佐賀県内を現地調査した。
3月11日に早稲田大で行った最終報告会では、空港と各観光地を結ぶアクセスの課題や、実際に観光して感じた改善点などを、レンタカー班と、公共交通機関班に分かれて発表した。
レンタカー班は、多くの観光名所で駐車場の整備や、観光地の表示看板の不足などを指摘。「慣れないクルマの運転で、カーナビを見ながら細い路地で駐車場を探すことが大変だった」などの感想を述べた。戸崎教授も「今の東京の学生は公共交通機関に慣れ、クルマを運転する機会は減っているので運転技術は未熟。佐賀県もレンタカーを利用した観光キャンペーンを展開されているが、安全・快適な旅への意識と整備が必要」と強調した。
一方、公共交通機関班は、荷物を持っての移動を避けるため、リムジンタクシーによる移動のメリットを上げる一方で、「運行ルートをもっと柔軟に対応してほしい」などの意見が出された。
また、意見交換の場では「学生の金銭感覚はシビアだが、こだわりのあるものにはお金を払うことを惜しまない」とし、「LCCを利用することで移動のお金が節約できた分、旅館に泊まり『プチ贅沢』の気分にも浸れた。学生旅行はメンバーと楽しむ時間と空間も必要で、旅館の役割は大きい」という声もあった。
さらに、「旅の移動では、ガイドブックを活用した。学生はSNSから情報を得ると思われがちだが、SNSは情報が些末で、どれが重要なのか判断しづらい」とし、手っ取り早く必要な情報が手に入る観光情報雑誌(ガイドブック)の有用性を強調した。
佐賀県からは、空港課の田中憲尚参事が「これまでさまざまな施策やキャンペーンなどを展開してきたが、『メニューは提示してきたがショーケースに飾っていただけ』という面があったかもしれない。学生たちの貴重なアイデアや提案を参考にしながら、もっと使いやすく工夫する必要性を感じた。首都圏の方々に佐賀有明空港から県内をもっと回っていただけるように改善していく」と話した。
おもてなし課の中尾政幸課長は「有明海など自然に恵まれた佐賀は食で売って行こうと思っている。首都圏から来ていただくには何が必要なのか、学生の皆さんの提案を聞きながらメモしていると、問題点が20個くらい見つかった。一つずつ課題を潰していきたい」と語った。
首都圏営業本部の光武香織副本部長は「たくさんの気づきをいただいた。地元の目線から『クルマがなければ県内の観光は難しい』と思い込んでいたが、公共交通を利用した旅も学生から概ね好評を得たのは予想外だった。県としてもリピートしてもらえるよう、積極的にPRしていきたい」と述べた。