車イスから見える風景
先日ユニバーサルデザインに関する取材先で、車イスに乗せていただく機会があった。一見バリアフリー仕様になっているスロープ。いざ車イスで上れば頂上は遥か遠く、安全のため後ろ向きで下れば、背後が見えぬ恐怖心で身動きが取れない。スロープがあれば誰にでも安心だと思い込んでいた自分を恥じた。
自動販売機で飲み物を買うにも一苦労。上段のメニューは手が届きづらく、何とかボタンを押し、飲み物を取り出そうにも、車イスの機体が邪魔をしてボトルが掴めない。
日常の行動なら徐々にコツが生まれるのかもしれない。が、これが旅先だったら。旅本来の目的以前に、外部の環境が旅人を遠ざけている可能性は高い。旅を楽しむことに不安や不便が勝らぬように。車イスに限った話ではない。
【森山 聡子】